ハーバード・ビジネススクールを経て、グーグル本社で働いた著者が、そこで学んだことを書きとめた1冊。ハーバード・ビジネススクールでは、どうした教訓を学べるのか、グーグルではどのように仕事が進んでいくのか。人生や仕事に生かせる35のルールとして紹介されています。
■用意された正解はない
HBS(Harvard Business School)では、日本のように教師が生徒に問題を解かせて正解を教えたり、一方的に講義行うような授業は限りなくゼロである。授業時間は、テーマのディスカッションのためだけに使われる。
経営に限らず人生全般のあらゆる問題に「用意された正解」はなく、自分で自分のための正解を見つけ出し、人生を動かしていかなくてはならないからである。そうして見つけた答えが、自分の人生のみならず他者、社会、国にも影響を与えていくものになる。
■譲れない信条を持て
意見よりも、もっと自分にとって根源的で絶対に譲れない信条を持つ事が大切である。自分の譲れない信条を持つ事で、他の人も自分とは異なる信条を持っている事が理解できるからだ。
HBSでは、相手を理解するという事も、自分の信条を持つ事と同じぐらい大事だと教わった。なぜなら、一方通行で自分の意見ばかり通そうとしても、決して物事は良い方向には進まないからである。
■イノベーションは自分で起こせ
グーグル本社の中で、日々感じたものは「イノベーション」と「拡張性」だった。グーグル社員の多くに共通しているのは「イノベーション」に対する関心が高いということ。
そして学んだ事は、アイデアは行動に移さなければ意味がないということ。行動し、言葉で伝える。皆ものすごく忙しいので、彼らの方から「アドバイスしようか」とは言ってこない。でも、自分から「こういう事をしたい」とアプローチすれば、協力してくれる。今の状況で、目標達成するために足りないものは何かを見極め、自分で補う環境をつくっていく。
■とにかく優先順位だ
何が何でもやり遂げること。これが、事業会社であるグーグルで、強く求められる基本姿勢だ。プロジェクト・マネジメントでは、限られた時間の中でリソースを割り振り、進捗させ、トラブルがあれば問題点を切り出し、解決のためのアイデアを考える。忘れてはならないのが優先順位づけ。
メール1つでも、フィルタリングしてラベルを付けて重要なものだけに目を通す。メールの文章も的確に要点を押さえて書く。他の人から頼まれた時も、無理な場合には「できません」というプッシュバックを早くやる。こういった事も優先順位付けと同じ思考回路でやる。時には、今までやってきた事を「全部やめる」事もある。常に何を最優先すべきかを考えているのがグーグルである。
■自分のドッグフードを食べる
グーグルには「目の前のユーザーだけを見るのではなく、きっとこうなるという未来志向で考えろ」という仕事基準がある。だからこそ重要になるのは、問題を発見する力。現状を問題視するという志向である。さらに大切なのは、問題視した事から生まれた改善を、実際にやってみるということ。
「自分のドッグフードを食べる」
これは、自社で作ったソフトウェアを実際の業務で利用して、評価するという意味。毎日、様々なチームのプロダクトマネージャーからドッグフードのメールが送られてきて、興味があるプロダクトの場合はサインアップしている。
■できることより、できないことをやれ
人生のトランジションに立った時、いろんな選択肢や考え方があるほど、いったいどれが自分にとって「正しい選択」なのか分からなくなる。そんな時に勇気づけられ、前に進む力をもらったのが元グーグル社員で、現在ヤフーCEOのメリッサ・マイヤーの言葉だった。
「どれが正解かなんて誰が分かるの? それより、どれか1個を選んで、その1個をmake it great に、つまり最高のものにつくり変える方がいい」
そして、もう1つ。
「今の自分にはできないと思うことをやれ」
自分ができること、得意だと思っていることに固執していると、いつの間にか成長が止まってしまう。
著者 石角 友愛
東京のお茶の水女子大学附属高校を中退し、16歳で単身渡米する。 ボーディングスクール(全寮制私立高校)に進学し、リベラルアーツ教育の、オバマ大統領の母校でもあるオキシデンタル・カレッジを卒業(心理学士)。 帰国して起業家を支援するインキュベーションビジネスを立ち上げ、3 年間運営する。2008年、再びアメリカに渡り、ハーバード・ビジネススクールへ。 戦略コンサルティング会社やベンチャーキャピタルで経験を積みながら、2010年に長女出産と同時にMBA取得。 シリコンバレーのグーグル本社でシニアストラテジストとして働き、2012年12月退職。アメリカのジョブマーケットが抱える問題を解決するサイト、JobArrive社を創業。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
帯 前内閣府政務官 田村 耕太郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
ハーバード・ビジネススクールとグーグルが教えてくれたこと | p.1 | 4分 | |
1 用意された正解はない | p.14 | 3分 | |
2 譲れない信条をもて | p.19 | 4分 | |
3 あなたができる最高の貢献をせよ | p.26 | 4分 | |
4 アチーブメント・ドリブンたれ | p.33 | 2分 | |
5 皆でフォースを高めよ | p.37 | 3分 | |
6 謙虚であれ | p.43 | 3分 | |
7 投資せずにリターンは得られない | p.48 | 3分 | |
8 知らないということは"ゼロ"である | p.53 | 3分 | |
9 待つな、チャンスは取りに行け | p.58 | 3分 | |
10 その失敗は"クリエイティブ"か | p.64 | 4分 | |
11 全身全霊で失敗せよ | p.71 | 3分 | |
12 変化はインサイドから起こせ | p.76 | 4分 | |
13 次の椅子は、同じ場所に回ってこない | p.83 | 4分 | |
14 人生はシナリオで考えよ | p.91 | 3分 | |
15 FOMOになるな | p.96 | 3分 | |
16 ジーニアスを発揮し続けよ | p.102 | 3分 | |
17 ベンチマークに明け暮れるな | p.107 | 2分 | |
18 リターンを最大化させよ | p.111 | 3分 | |
19 BATNAをもて | p.116 | 2分 | |
20 リゾリューションプライスを知る | p.120 | 3分 | |
21 やりがいはお金で買えない | p.125 | 3分 | |
22 ご褒美は降ってこない | p.130 | 2分 | |
23 今この瞬間を生きる | p.134 | 3分 | |
24 本気を見せよ | p.139 | 2分 | |
25 包み隠さずに話す | p.143 | 4分 | |
26 イノベーションは自分で起こせ | p.151 | 3分 | |
27 行動し、言葉で伝える | p.157 | 3分 | |
28 とにかく優先順位だ | p.163 | 3分 | |
29 自分のドッグフードを食べる | p.168 | 2分 | |
30 学びと仕事を同居させよ | p.172 | 2分 | |
31 「それ分かんない! 」と言え | p.176 | 3分 | |
32 オーナーシップをもて | p.181 | 5分 | |
33 自分の居場所をつくりなさい | p.190 | 4分 | |
34 仕事とパーソナルを切り離すな | p.198 | 3分 | |
35 できることより、できないことをやれ | p.203 | 4分 | |
おわりに | p.211 | 3分 |
イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ [Amazonへ] |
グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ [Amazonへ] |
モモ (岩波少年文庫(127)) [Amazonへ] |