ストーリーの構成
ビジネスリーダーがストーリーを語る際に求められるのは、ごくシンプルな構成だ。ストーリーには3つの順序が重要である。
①背景
背景はストーリーに必然性をもたらす。きちんと説明できれば、聞き手は関心を引かれ、このストーリーには耳を傾けるだけの価値があるとわかり、話の続きに聞き入る。そこで、次の4つを説明しなければならない。
・いつ、どこで?(体験談か人から聞いた話なのか)
・主人公は誰?(聞き手が一体感をもてる主人公にする)
・主人公の望みは何?(聞き手にとって価値ある目標でなければならない)
・誰が邪魔をしている?(悪者がいないストーリーはつまらない)
②動き
主人公が悪役と対決する事が大事だ。ストーリーの中で主人公が続ける旅には、つまずきや一時的な後退が欠かせない。山あり谷ありだからこそ、ストーリーに興奮が伴う。だがもっと重要なのは、そこに必ず教訓が含まれている事だ。
③結末
結末では3つの目的を達成しなければならない。
・主人公は勝つのか、負けるのか?
・正しい教訓
・なぜ、あなたはこのストーリーを話しているのかという理由に立ち戻る
「よいストーリー」を「すばらしいストーリー」に変える6つの技術
①比喩
比喩は聞き手の頭の中にすでに存在しているストーリーと関連づける。ふさわしい比喩を見つけたい時には、次の方法がある。
・雑誌の写真を切り抜き、コラージュをつくってもらう。
・聞き手に直接、訊いてみる。「コンピュータ・システムを車になぞらえるとしたら、古いシステムはどんな車種のどんなモデルと言えますか?」
②感情
感情は、ストーリーに欠かせない。活用できる感情の中で力を発揮するのが「共感」だ。ストーリーの内容に、聞き手が自分を投影できる方がいい。
③具体性
抽象的なアイデアより、具体的なアイデアの方が強く印象に残る。漠然とした一般論をストーリーで語る事などできない。必ず特定の人物や出来事が語られる必要がある。
④サプライズ
冒頭にサプライズを用意し、聞き手の関心を引こう。普通ではないこと、予想もできないことを持ってこよう。また、ストーリーの終盤にサプライズがあると、聞き手はその内容を覚えやすくなる。
⑤文体
形式ばった複雑すぎる文章よりは、シンプルでくだけた文章の方がいい。有効な話し言葉には次の特徴がある。
・文章が短い
・簡潔な単語を使う
・能動態を使う
・述語を早く示す
⑥ストーリーに聞き手を組み入れる
聞き手が参加できるようなイベントを企画したり、状況をつくったりしよう。そうすれば聞き手は、実体験を通じて教訓を学ぶ事ができる。