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2013/07/14更新

未来の市場を創り出す ― 「サービスが先、利益は後」がめざすこと (日経ビジネス経営教室)

  • 木川眞
  • 発刊:2013年5月
  • 総ページ数:208P

108分

4P

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「解決方法がない」を見つける

サイクルの最初にあるオンリーワン。これが需要創出への第一歩となるが、これを生み出すのも相当難しい。我々はお客様の話を聞く事から始める。全国約6万人のセールスドライバーが、お客様の細かなニーズを集めてくる。困っているけれども解決策のない事を探ってくるのである。ここにオンリーワン作りのヒントがある。

我々のビジネスが格段に広がったきっかけは、すべて「解決策がなくて困っている」という声だった。そこに着目する事から顕在化されていないニーズを探り当てた。オンリーワン商品を作る出発点は、必ずお客様の声であるべきなのだ。

狙いを絞り込む

「数兆円規模の市場で、ある事情に困っている企業が数千社あり、その潜在需要は1000億円です。だからうちはその10%を取りましょう」。現場からよくこんな事業設計が上がってくる。しかし、マーケットセグメントが大きすぎるとお客様のニーズは絞り込めない。そもそも巨大市場の10%を取るためにどんな商品を作るのか想像できるのか。

そうではなく、セグメントを絞り込む。絞り込んだマーケットの5割を取ろうと言う。1000億円の10%も200億円の50%も売上は同じ100億円。ニッチであるけど、その分独自性を出せる。

サービスが先、利益は後

これらをクリアした上で、商品の価格設定が利益の先取りになっていないかをチェックする。小倉昌男の経営哲学「サービスが先、利益は後」だ。お客様に喜ばれるサービスを開発し、価格は利用しやすい水準にとどめる。そうすれば需要は拡大して、利益は後からついてくる。

市場環境に応じて戦う土俵を変えていく

宅急便は新しい需要を生み出す一方で、他社の参入を拒まずに市場を拡大させる戦略をとった。競争相手が増えれば、それだけ需要も広がる。市場が拡大したら、次にすべき事は激しい競争を勝ち抜き、圧倒的なNo1になる事だ。そこで決め手となるのが他社との差別化である。

「スキー宅急便」「ゴルフ宅急便」「クール宅急便」「時間帯お届けサービス」。小倉昌男は宅急便という成功したビジネスモデルに安住せず、それを絶えず進化させた。

もっとも、どんなに成功したビジネスモデルでも、必ず成熟期を迎える。2000年代に入ると、宅急便市場も徐々に成熟していった。同時にライバルとの品質格差は年々縮まっていった。すると、品質や利便性より料金で選ぶお客様が出てくる。業界全体が不毛な価格競争に陥りがちになってしまう。

そこで大きな方向転換をした。「これからは宅急便の荷物だけを取りに行くな」。グループ各社が持つ機能を組み合わせてトータルの物流改革を提案する。商品単体で差別化するのではなく、グループ各社が力を合わせ「機能」を超える「仕組み」の違いでNo1を維持する必要があったのである。