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2013/07/10更新

本当に使える経営戦略・使えない経営戦略

  • 山田 修
  • 発刊:2013年4月
  • 総ページ数:223P

171分

3P

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著名な経営戦略論にダメ出し!?

「競争の戦略」「ブルーオーシャン戦略」「イノベーションのジレンマ」「コアコンピタンス経営」「ストーリーとしての競争戦略」まで。何が使えて、何が使えないのか。著名な戦略の実効性を問う1冊。


■欧米発の戦略は大企業向け
欧米発祥の戦略セオリーで気をつけなければならないのは、それらが「欧米における超大企業」のために考え出されたものだ、という点である。たとえばジャック・ウェルチがGEで考案し実践した「選択と集中戦略」は素晴らしい成果を上げた。しかし、日本の会社の99.7%は中小企業であり、ほとんどの会社は単一事業を展開している。つまり「選択」も「集中」もする余地などない。

主要な経営戦略セオリーを発表してきたのは「戦略ブティック」か「ビジネススクール教授」である。戦略ブティックの高いフィーを払ってくれるのは、大企業以外にいない。一方、ビジネススクール教授の手柄は少しでも新しい学説を打ち立てること。その時点で新しく成功している企業事例に注目する事が手っ取り早い。

日本の普通の会社がそんなところを目指して、ビジネスを設計してよいものか。採用できない戦略セオリーとは、即ち役に立たないセオリーだ。

超短要約

■使える戦略
①『ビジネス・モデル・セオリー』
経営戦略セオリー的に、ユニクロの成功要因のポイントは「質の高い商品が割安価格」で提供されてきた、という事になる。製品には「価格」と「機能」の2つがある。市場で出回っている同じ商品群を考えると、価格と機能の上限と下限の中に「有効市場域」がある。

従来の経営戦略セオリーでは、この「有効市場域」の中で自社はどのあたりにポジショニングすれば良いか、という事を考えてきた。マイケル・ポーターは有効市場域の四角の左下隅か、右上隅に位置取れ、と指南している。

しかし、ユニクロの商品群は、従来の「有効市場域の四角」の中には入らなかった。価格は安いし新機能だった。重要なことは、「低価格・高機能」の大型商品が次々とリリースされ続けてきたことである。「有効市場域の四角」の外側に位置する製品は、通常は不合理な位置取りと考えられる。それがスポット的な出現であれば、投げ売りや在庫処分の場合が考えられるが、それは続かない。

ユニクロが「有効市場域の四角」の外側に商品を発表し続けられた主な要素には、次のようなものがある。

・SPA(製造小売り)方式の導入
・中国での大量委託製造とそのコントロール
・新素材開発のため、東レと提携
・対面販売でなく、顧客が自分で選び会計をするセルフ方式の徹底

施策単体ではなく、組み合わさって強みを形成した。つまり、ビジネスのやり方全体で差別化を進めてきた。これを「ビジネス・モデル・セオリー」という。ビジネス・モデルの特徴の1つとして「すぐには築けない」だから「一度構築されると、すぐに追い付けない」という特性がある。

②『イノベーションのジレンマ』
強者A社はすでに「有効市場域」で確立した競争優位をさらに万全にするべく、大手や優良顧客への浸透努力を強める。それらの顧客のニーズを吸い上げ、さらに自社の商品の改善や強化に余念がない。

一方、後発だったりして技術的に競争劣位にあるB社は「有効市場域」への参入が思うように果たせない。B社はたまたま開発できたような、あるいはA社がA社顧客には向かないとして見向きもしないでいる特定限定された技術に特化する。

時間の進行とともに、競争劣位企業のその技術は改善されたり付加的な技術要素が加わったりして、「有効市場域」に進出していく。そうなると、従来技術ではもう対抗できないような価格と機能の組み合わせを備え、市場全体を席巻する。

こういうケースを経営戦略的に「イノベーションのジレンマ」と呼ぶ。コダックはデジタル・カメラの登場によって倒産した。しかし、富士フイルムは、それまでの本業から大きく離れて多角化、業態換えをすることで活路を見出した。

著者 山田 修

1949年生まれ。(有)MBA経営 代表取締役 外資4社、日本企業2社で社長を歴任、「企業再生経営者」と評された。経営者に戦略立案を指導する「経営者ブートキャンプ」を主宰。

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帯
国際ビジネスブレイン代表取締役 新 将命
マインドマップ的読書感想文 マインドマップ的読書感想文
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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.3 2分
第1章 「使える戦略」で読むユニクロの成功とコダックの倒産 p.17 16分
第2章 伸びる会社は戦略で勝負している p.43 18分
第3章 「戦略カードとシナリオ・ライティング」で自社戦略を立てる p.73 18分
第4章 社員に火を付ける戦略とは p.103 13分
第5章 使えない、大企業御用達の舶来セオリー p.125 16分
第6章 SWOTは分析ツール、戦略ではない p.151 13分
第7章 神様、マイケル・ポーターがやって来た p.173 13分
第8章 学者は新学説を、コンサルタントは請求書を求めて p.195 17分

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