会社の老化原因
会社が不可逆プロセスをたどる要因は、物理的側面だけでなく、心理的側面も関係している。
・物理的側面
①膨張する(組織の肥大化、地理的拡大)
②バラバラになる(求心力の低下)
③混合する(人材の均質化、カルチャーの統合)
④乱雑になる(理念、戦略性の喪失)
・心理的側面
①変化に抵抗し、それまでの習慣に固執する
②一度得たものは手放せない
③期待値ではなく、リスクの大きさに反応する
④水は低きに流れる(楽な方向に流される)
⑤手段が目的化する(目的よりも具体的な手段の方が見えやすい)
⑥縄張り意識を持つ(全体最適よりも部分最適を優先する)
⑦知れば知るほど近視眼的になる(一度知ってしまったものをリセットできない)
老化した会社の「止められない」症候群
会社が老化すると、以下のような事象が起こる。
・スタンプラリー(承認者が増加し、責任回避の手段として働く)
・部門の細分化(仕事が専門分化する)
・会議の肥大化(組織の細分化に伴い、コミュニケーションコストが増加する)
・階層の細分化(従業員の増加により、管理職の範囲が増える)
・官僚主義(縄張り主義と権威主義に行き着く)
・予算の増加(一度立てた予算は全額消化するという暗黙の常識にとらわれる)
・コミュニケーション時間の増加(報連相の過度な徹底に時間を費やす)
・証拠づくり(中身より箱重視の姿勢)
・規則の増加(規則やルールによる統制)
・加点主義から減点主義への変化(評価指標が最大公約数的なものになる)
・社内評論家の増加(減点主義により、リスクを追うない評論家が増加)
会社の老化に対応する方法
会社の老化を止めるには、次の3つの事が考えられる。
①老化を運命として受け入れる
まず「会社の老化は止められない」という現実を肝に銘じ、無駄な抵抗をしない。老化の症状や弊害を可視化し、思考停止に歯止めをかけることが重要である。
②老化をリセットする
世代交代を行なう。会社における世代交代とは、経営者や社員の世代交代ではなく、根本的な考え方や価値観が移行することである。日本の会社が世代交代を実現するには、「子会社」の存在が大きい。子会社の主導権を親会社が握るのではなく、独立させるべきである。
③「眠れるイノベーター」を活用する
老化した組織では、イノベーターは「異端児」として迫害され、行き着く先は普通の人に埋没するか、外に出て行くかである。イノベーションを起こすためには、「イノベーター」と「アンチイノベーター」との適性を見極めた上で適切に「切り分ける」必要がある。新しい事は次世代に任せ、そのために必要なヒト・モノ・カネとノウハウを提供する方が良い。