会社も人間と同じで老化する。ルールや規則の増加、ルーチンワークの増加、社内評論家の増加、官僚主義など、組織が抱える問題の原因を解き明かしながら、その対策を考える。
■会社も老化する
人間と同様、会社は生まれた瞬間から老化が始まる。それは会社が持っている「不可逆性(変化は一方通行)」という性質による。例えば「ルールや規則の増加」「部門と階層の増殖」「過剰品質化」「顧客意識の希薄化」「社内政治家の増殖」「人材の均質化・凡庸化」というように、会社の老化は進行していく。
老化という人間では当り前の法則が、会社では当り前でなく、すべての会社は永遠の命を持っていて成長し続けるという前提で動いているように見える。人間の場合、見た目が異なるから、本人も周囲も老化を認識する。しかし、会社の老化は気付きにくい。それは、成長の延長線上に老化があるからである。
会社は人間と同様、生まれた瞬間から老化の一途をたどり、決して若返る事はない。従って会社もうまい年の取り方を考えた上で「リセット」をかける必要がある。
老化とは「後戻りのできない不可逆プロセス」の進行である。それは「数が増える」「均質化する」「複雑化する」事で劣化する現象である。会社は老化する事によって、以下の事が起こる。
・ルールや規制の増加
・部門と階層の増殖
・外注化による空洞化
・過剰品質化
・手段の目的化
・顧客意識の希薄化と社内志向化
・「社内政治家」の増殖
・人材の均質化・凡庸化
老化した会社を活性化させられるのが、起業家精神を持って新しい事に挑戦するイノベーターであるが、会社は老化すればするほどイノベーターを活用できない構造になっていくジレンマを抱えている。なぜなら、会社が成長し、成熟するにつれ、決められた仕事を着実にこなす「オペレーション型人材」が社内で幅をきかせるようになるからである。
会社の老化に対処するには、大きく3つの事が考えられる。
①老化を運命として受け入れる
②世代交代によって、老化をリセットする
③イノベーターと抵抗勢力を分離して活用する
著者 細谷功
1964年生まれ。クニエ マネージングディレクター 東芝で8年間エンジニアとして働いたのち退職。アーンスト&ヤング・コンサルティング(ザカティーコンサルティング→クニエの前身)に入社。 製造業を中心として製品開発、マーケティング、営業、生産等の領域の戦略策定、業務改革プランの策定・実行・定量化、プロジェクト管理、ERP等のシステム導入およびM&A後の企業統合等を手がけている。
TOPPOINT |
日経トップリーダー |
日本経済新聞 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.1 | 6分 | |
第一章 会社という名の不可逆性プロセス | p.25 | 31分 | |
第二章 老化した会社の「止められない」症候群 | p.67 | 26分 | |
第三章 老化を加速させる大企業のジレンマ | p.103 | 25分 | |
第四章 会社の老化がイノベーターを殺す | p.137 | 26分 | |
第五章 何がパラダイムシフトを阻むのか | p.173 | 32分 | |
第六章 組織の宿命をどう乗り越えるか | p.217 | 13分 | |
あとがき | p.235 | 2分 |
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