放送と通信の融合
今、スマートフォンに代表されるスマートデバイスの進化は、テレビの在り方に影響を与え始めている。それは本当の意味での、放送と通信の融合(デジタルコンバージェンス)と言えるものだ。テレビはスマートフォンと一緒に楽しまれるようになり、テレビだけに視聴者の視線を引き止め続ける事は一層困難になった。ソーシャルメディアを使って、つぶやく視聴者の友人や知人が他局以上に強力な競争相手となる。
スマートフォンやタブレットの登場による「セカンドスクリーン」の普及につれ、ソーシャル視聴アプリも出現し、テレビとインターネットは1つになろうとしている。
例:日本テレビ「JoinTV」「wiz tv」
ここで一番大切なのはデバイス、メディアから考えるのではなく、コンテクスト(文脈)に即したクリエイティブをユーザーに届けること。従来型の視聴率だけを追求したコンテンツ作りから、視聴者による参加、体験も価値の一部として取り込んだコンテンツへ、つまりユーザーファーストの考え方が重要になる。
マルチスクリーン戦争
デジタル化されたコミュニケーションが主流になる新しいマーケットで、メディアや広告主がより多くのユーザーの心をつかみ、マーケティングを成功させるために重要なのは、デジタルデバイス、デジタルスクリーンを適切に活用する事にある。
既存の「テレビ放送」と「インターネット」を別々に展開するビジネスでは先細りになるという危機感から、米国のテレビ局などではマルチスクリーンの活用における提携が増加している。
例:NFL「スーパーボウル」でのペプシのCM
音源にかざすと曲目を教えてくれるアプリ「シャザム」と連動し、ペプシのCM放映時にアプリを起動すると、CMに登場するシンガーの特典映像が配信された
例:「CBS Connect」というテレビ視聴アプリ
音声認識技術で視聴者が見ている番組を判別。その関連情報をタブレットに表示し、テレビ視聴体験をリッチにした
ユーザーファーストの視点が重要
今は購買体験そのものを豊かにし、その前後のプロセスも含めたコトも楽しむ時代に変わってきた。ブランディングやマーケティングもユーザー行動から逆算して考えるように、変化が迫られている。
ユーザーファーストを徹底するにはまず、ユーザーは何を欲し、そのためにどういう行動をしているのかを知る必要がある。例えばヤフーを使って誰が何を検索し、どんなページを見て、何を買ったのか。そうした一連の行動が集積されたビッグデータをもとに体系化された知識でサイエンスを進める。さらに、企業のブランドの価値を再定義して、そのミッションを咀嚼し、具体的なメッセージへと変換していく。