アイドルと景気には相関関係がある。景気変動とアイドルの興隆の視点から、今後アベノミクスで景気が回復した場合、AKB48は衰退する可能性が高いと説く。
■AKB48は不況に強いビジネスモデル
ある国における流行や文化というものは、その国が置かれている経済状況と無縁ではない。必ずその国の経済事情、国民の消費感情を反映している。日本では90年代初頭のバブル崩壊から「失われた20年」と呼ばれる、暗く長いデフレの時代を過ごしてきた。
不景気の時代を生きる彼らは経済の不振からマインドが内向きになり、お金を使わない傾向にある。こうしたデフレ不況世代に大人気なのがAKB48だ。AKB48の特徴は「赤字覚悟の低料金講演」と写真集やグッズなどの「低価格設定」である。この2つの要因は不況に強いビジネスモデルとして、AKB48の人気獲得に大きく役立つ事となった。
可処分所得が少なく、彼らの持つ限られたお金は特定の対象に使われる事になるから、「デフレ期には一人勝ちを生みやすい」という側面がある。
芸能界、特にアイドルの世界では「アイドルは不況に強く、好況に弱い」という定説がある。
景気が上向いてくると、それまで「あまりお金を使わないようにしよう」と考えていた人たちが、その反動からリアルな消費に走るようになる。リアルな消費が加速していくと、AKB48のような物語消費は影を潜めていくようになる。
最も景気回復によるアイドル衰退効果の影響を受けるのはAKB48でなのである。
著者 田中 秀臣
1961年生まれ。経済学者。専門は日本経済思想史、日本経済論、経済政策。 上武大学ビジネス情報学部教授。 多数の一般向けの著作があり、中でも韓流ドラマなど身近な話題を題材にエコノミストとして論評を行った著作が特徴的。経済時評・漫画・海外コミックなどに関する評論も雑誌などに多く掲載されている。
週刊 ダイヤモンド 2013年 5/25号 [雑誌] |
週刊 ダイヤモンド 2013年 6/22号 [雑誌] 丸善・ジュンク堂書店営業本部長 宮野 源太郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序 章 2013 年、AKB48 が消える!? | p.7 | 5分 | |
第一章 あれから2 年、すべてが変わった | p.17 | 12分 | |
第二章 アイドルは不況に強く、好況に弱い | p.41 | 12分 | |
第三章 激突! AKB48 対アベノミクス | p.65 | 14分 | |
第四章 フランチャイズ化と海外進出の勝算 | p.95 | 14分 | |
第五章 AKB48 対社会のモラル | p.125 | 13分 | |
第六章 AKB48 消滅へのカウントダウン!? | p.153 | 14分 | |
終 章 秋元康はどこに向かうのか? | p.183 | 4分 |
秋元康のプロデュースにより、2005年に誕生した日本の女性アイドルグループ。 秋葉原に専用劇場…
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