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2013/07/07更新

経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える

280分

8P

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マルサスの法則

ヨーロッパは、新たなテクノロジーによるダイナミズムにもかかわらず、障害物に絶えずつまずいた。十一世紀から十三世紀までの幸運な時代は、飢饉の再来によって、あっという間に崩れ去った。飢饉・ペスト・戦争という災禍により、14世紀末のヨーロッパの人口は14世紀初頭から1/3以上も減った。

15世紀中頃、人口が減少したおかげで、最も肥沃な土地だけで農業を行うようになったため、ヨーロッパの農業生産性は向上した。しかし、17世紀中頃、人口が14世紀初頭のレベルに近づいた途端に、飢饉・ペスト・戦争が再びヨーロッパを荒廃させた。

18世紀末に誕生した古典的な政治経済学では、富の源泉は土地なのか、人間なのかという問題で激しい論争となった。マルサスは、食糧上の制限がないと、人口は急増するが、早晩、利用できる農地が減るため、国民は困窮するとした。産業社会以前では、高い死亡率は食いぶちが減るため、現実的に良い事だった。

産業革命

18世紀中頃にかけて、ヨーロッパは産業革命により急激な転換を経験した。18〜19世紀のイギリスの人口は倍増したが、1人あたりの所得は10%近くも上昇した。これは食糧問題が解決した事を示す。イギリスは、工業製品を輸出し、農産物を輸入したのである。

土地と資本には大きな相違がある。労働者人口が増加すると、機械の数も増やす事ができる。だが、耕作地の面積を拡大する事は困難である。従って、工業社会においては、人口増は問題にならなくなった。

文明の危機

毛沢東の死からベルリンの壁崩壊までの間に、グローバリゼーションという新たな現象により、人類史は白紙に戻った。インドと中国が、世界資本主義に復帰した事が、グローバリゼーションが確立した根本的な出来事である。新興国は、西洋が辿ったのと同じ道のりを歩んでいる。

これまで産業は、西側諸国や日本だけのものだったが、世界が産業化されたため、それまでのルールが通用しなくなった。人類は、共有財産である地球が脅威にさらされている事に、次第に気付き始めたのだ。

中国がアメリカと同じ消費スタイルになれば、2030年に中国の穀物の消費量は、世界の穀物生産量の2/3に達し、これは現在の世界の供給量に相当する。中国がアメリカと同じように紙を消費すれば、地球上の森林はすべて消えてしまう。2030年に中国の人口を抜くインドに、西洋諸国の経済モデルを適用する事も当然ながら無理である。

人類は限りある環境で暮らす術を学ぶために、産業革命の時のように、懸命に努力しなければならない。人類は、ヨーロッパが18世紀以降に辿ってきた道筋を、精神的には逆方向に走破しなければならない。つまり、世界は無限であるという考え方から、世界は閉じているという考え方への移行だ。