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2013/06/28更新

インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?

136分

3P

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本当にアベノミクスは正しいのか?

「デフレ脱却」をスローガンに進められるアベノミクス。しかし、本当にデフレからインフレへと導く政策は正しいのか? そして、それは可能なのか?

デフレ脱却をめぐる6つの疑問に答える形で、今本当に日本経済に必要なこととは何かを説く。


■日銀がお札を刷れば、財布の中の1万円札は増える?
日本銀行も民間銀行も、自行に預金を預けていない人・会社・銀行に対して、お札は渡せない。発行したお札が日本銀行から出ていくかどうかは、皆さんの需要を勘案した民間銀行が決めるのである。「日銀がもっとお札を刷ればいいんだ!」と主張する人の多くは、この点を勘違いしている。

日銀がお金を発行しても、各民間銀行が日銀に保有する当座預金残高が増えるだけで、企業や個人の貸し出しには直結しない。

超短要約

日本の財政赤字は巨額にのぼり、家計の金融資産の半分以上が預金である。年金で生活している高齢者が多く、また、企業の姿勢が慎重で、かつ雇用の維持を重要視するため、収益に占める給料の比率が低くなりがちだ。そんなところでインフレが発生しても、あまり良い事はない。

また、インフレ率をターゲットにして金融政策を行うと、再び資産バブルを見逃し、再びバブル崩壊という悲劇に見舞われる可能性も高い。

日本が今本当に必要としているのは、強い需要である。今のような状態で金融緩和によって需要を増やすのは極めて難しい。日銀がいくら国債を購入し、量的緩和を行ったところで、民間の借り入れ需要がなければ、お金は実体経済には流れていかない。日本にとって今本当に必要なのは、構造改革、規制緩和、税制改革等を通じた抜本的な政策の見直しである。

日本経済の停滞にとって最も重要な問題は年金制度だ。これだけ盛んに、老後は満足に年金が受け取れない、などと脅されると、消費や投資を行う意欲を削がれてしまう。高齢化に加えて少子化が進む状況下で、満足な年金がもらえないのは仕方がない。それよりも、将来的にもらえる年金が把握できて、不安を感じないような状況を確立するべきだ。でなければ、日本人は安心して消費や投資を増やせない。

著者 佐々木 融

1967年生まれ。JPモルガン・チェース銀行 マネジングディレクター、債券為替調査部長 日本銀行入行。調査統計局、札幌支店を経て1994年から1997年まで国際局(当時)為替課に配属され、為替市場への介入や市場調査・分析を担当。1998年から2000年まで考査局で実地考査および銀行の財務内容の分析を担当。2000年よりニューヨーク事務所において、NY連銀と情報交換を行いつつ外為市場を含めた市場全般の情報収集、調査・分析を担当。 2003年JPモルガン・チェース銀行入行。現在、同行マネジングディレクター、債券為替調査部長。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.3 3分
疑問1 日銀がお札を刷れば財布の中の1万円札は増える? p.15 9分
疑問2 問題はデフレで、その克服のためにインフレを目標にする? p.33 12分
疑問3 日銀が国債を引き受けるとハイパーインフレになる? p.57 10分
疑問4 円安誘導のインフレで日本経済は復活できる? p.77 21分
疑問5 インフレターゲットを採用すればインフレになる? p.119 12分
疑問6 日本国債は日本人が保有しているから売られない? p.143 13分
特別付録 現役ストラテジストが顧客にしか教えない為替の構造要因と見通し p.169 19分
おわりに p.206 4分

キーワード

アベノミクス

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