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好奇心からはじまる

鈴木:運の種って、好奇心だと思うんですよね。

秋元:自分が「おもしろそうだな」と思えるかどうかが一番だね。僕は作詞家、放送作家として、分不相応なお金をもらったかもしれないけど、だからこそ、これで一発当ててやろうというのはモチベーションにはならないんだよね。

何かを始める時、必ずそこに「ひょんなことから」が入っている。自分の人生を振り返っても、成功した事も失敗した事も「ひょんなことから」だよね。AKB48を作ったのも「ひょんなことから」。お寿司屋さんで食事していた時に「こんなことやったらおもしろくない?」って言ったら、「それやりましょうよ」と言われたのがきっかけ。

鈴木:それも、自分の強い好奇心がきっかけだからこそ、動けるんですよね。今、世間の真ん中にあるものに近づくっていうよりか、自分が思った事にみんなを触れさせたいっていうのがあります。

秋元:僕らが何かをやる動機って、市場が何を求めているか、じゃないんだよね。たぶん多くの人が、秋元康や鈴木おさむはマーケティングして当たりそうなものを研究していると思っているけど、そんな事まるでない。

好きだからやる

秋元:天職に就いてるなって思える人はみんな、好きだからやってる。好きかどうかでまずふるいにかけられる。成功した人は苦労時代の話を聞かれるでしょ、でもほとんどの人が苦労だと思ってないんだよね。それはそれで面白かったなと思ってるから。

AKB48も「秋元さん、よく頑張りましたね」とかって言われるんだけど、僕はそこではたと気付くの。あんなものやり始めちゃって、売れなくて、大変だっていう風に見られていたのかと。でも本人は全然そんな風に思ってない。これやったらどうなるんだろうなとか、こんな歌出したらどうなるんだろうとか。すごく楽しかった訳だから。

「イタい」を恐れない

鈴木:やっぱり夢をかなえるための最初の一歩は「イタさ」じゃないですか。親やまわりに無理と言われてもそこに進めるイタさ。信じ抜けるイタさっていうか。

秋元:不器用な人が成功するんだよね。不器用な人がトンネルを掘り始めたら、そのトンネルしか掘らない。器用な人は、こっちじゃないかな、こっちじゃないなって、掘る場所を変えちゃう。だから、元AKBの前田敦子みたいな子を見てると、不器用で、きっとAKB48しか信じるものがなかったんだろうなと思う。そういうところから始まっていった訳だよね。だから、自分にはこれしかないって信じる事じゃないのかな。

一流の人たちはみんな努力しているから一流なんだと思うよ。一流の人は自分に飽きないのよ。それがすごく大変なんだよね。淡々とやり続けるって事が一流であり、プロフェッショナルであるって事なんだと思う。