市場のすき間を考える
25歳の時、友人がロンドンで最も有名なインテリアデザイナーの1人ニッキー・ハスラムに会ってみるよう勧めてくれた。キャスは彼のデザインオフィスに4年勤め、多くの事を学ぶ。キャスには、インテリアの仕事の他にも、自分の店を持ちたいという強い思いがあった。そこで有人のショナ・マッキニーと、市場にすき間があると考え、カーテン関連の商品だけを扱う店を思いついた。当時、こういった専門店はなかった。
29歳の時、キャスはショナと小さなカーテンショップを開き、新鮮味のある商品と、顧客の望みどおりのデザインを提供した。創業から4年が過ぎた時、キャスは独り立ちを決意する。
モダンヴィンテージというコンセプト
次に何をしようか、どんなコンセプトにしようか、いろいろ考えた。大手との競争を避けるため、他とは違う視点やオリジナルのアイデアが必要だった。古いものと新しいものの組み合わせは、必ず人々の共感を得るはずだと考えていた。週末はガラクタの山をかき分けて過ごし、モダンに変身させる事のできる掘り出し物のアンティークを探した。
キャスは少しずつアイデアを蓄積しながら、将来の店に置くための品物を買い集めていった。こうして、アンティークに新しさを加えるという「モダンヴィンテージ」のアイデアが生まれた。
Cath Kidstonの誕生
新しいお店は、ホーランドパークとノッティングヒルの中間に位置する通りの小さな店舗に決めた。昔ながらの生活雑貨に新しさをプラスするというお店は他になかったので、リスクが大きく感じられた。
開店してから間もなく、オリジナル商品の制作を始める。まずはクッションカバーやコットンバッグ、花柄のアイロン台カバーなど。どれもヴィンテージの布を使った。小売価格は、最初から原価に一定の利潤をプラスする方式ではなく、お客さんに買い得感のある価格設定を心掛けた。
チェコスロバキアへ旅行した時、レトロで鮮やかな色合いのローズギンガムファブリックを見つけた事を思い出す。チェコスロバキアの工場で、ギンガムファブリックのロールを注文し、アイロン台や子供用リネンなど、デザインした商品を作ってもらう事にした。2回目の注文の際、行き違いで、1500mの布地のかわりに、その布地を使った布団カバーとピローケースが大量に届く。返品できない契約だったので、ベッドリネンにハサミを入れ、小さなアイテムを作ることにした。こうしてCath Kidston初のコレクションが偶然生まれた。
このアイデアは瞬く間に人気を集め、ショップはファッションやデザインの世界の大物からも注目を集めるようになる。