戦略は策定するよりも、実行する方がはるかに難しい。どのようにして、従業員を戦略目標に向けて動かせば良いのか。
『7つの習慣』で著名なフランクリン・コヴィー社が開発した戦略実行のフレームワークが紹介されている1冊。
■戦略を実行できない原因は日常業務にある
戦略、目標、改善活動。リーダーがチームや組織を大きく前進させるためにとるイニシアチブは、2つに分けられる。
①サイン型戦略(金と権限さえあれば実現できる戦略)
設備投資、増員、手順の変更、広告展開など
②行動変革型戦略(人々に行動を変えてもらう必要がある戦略)
顧客体験の向上、品質改善、対応の迅速化、接客販売など
ベイン&カンパニーは「戦略の約65%は従業員の行動の大転換を必要とするが、多くの経営者は事前にその事を考慮していない」という。リーダーは部下に問題があると思っている。しかし、問題は人ではない。
実行力破綻の原因は、目標の曖昧さ、コミットメント、協力、アカウンタビリティの欠如などにある。しかし、その根本原因は「日常業務」にある。日々の業務を回らせ続けるには、とてつもないエネルギーが要る。そのせいで、チームを前進させるための焦点から目が離れてしまうのだ。
行動変革型戦略の実行を妨げる原因は、「日常業務」にある。それまでにない新しい活動を必要とする重要な目標は、日常業務といちいち衝突する。
行動変革型戦略に取り組む時は、日常業務と闘わなくてはならない。「実行の4つの規律(4Dx)」は、最も重要な戦略を日常業務の中で実行するためのルールである。
4つの規律は以下の通り。
①最重要目標のフォーカスする
第1の規律は、たくさんの目標を掲げてそれらに漫然と取り組むのではなく、大きな変化をもたらす1つないし2つの目標に努力を集約する事である。
②先行指標に基づいて行動する
第2の規律は、先行指標を推進する活動にチームの労力の大部分を注ぐ。これが遅行指標を達成するテコになる。先行指標というのは、目標の達成に直結する活動の「測定基準」である。
③行動を促すスコアボードをつける
第3の規律は、勝っているのかどうかを全員がわかるように、常にスコアをつける規律である。これはエンゲージメントを高める規律である。
④アカウンタビリティのリズムを生み出す
第4の規律は、アカウンタビリティのリズムを生み出す事である。定期的に実績を報告し、スコアを動かす計画をたてる循環的なプロセスを定着させる。第4の規律でようやく、実行が現実のものとなる。
著者 クリス マチェズニー
フランクリン・コヴィー社 グローバル実行プラクティス・リーダー 「実行の4つの規律」の開発者のひとり。約10年前からフランクリン・コヴィー社で4DXの開発を主導し、世界各地で4DXのコンサルティングに携わり、何百もの組織に大きなインパクトを与え、目覚ましい成長をもたらした。
著者 ジム ヒューリングフランクリン・コヴィー社 エグゼクティブ・バイス・プレジデント グローバル・ソリューション&パートナーシップ事業部エグゼクティブ・バイス・プレジデントとして、世界141カ国で展開する事業を統括。フランクリン・コヴィー社のチーフ・プロダクト・アーキテクトとして4DXの初期の構想・開発チームを立ち上げて以来、4DXプロセスを精力的に推進している。
著者 ショーン コヴィーフランクリン・コヴィー社 ソリューション4DX マネージング・コンサルタント 過去30年にわたり、「米国における働きがいのある企業トップ25」に入る企業のCEOをはじめ、フォーチュン500企業から株式非公開企業まで幅広い企業のリーダーを歴任。
TOPPOINT |
帯 ハーバード・ビジネススクール教授 クレイトン・クリステンセン |
帯2 作家 スティーブン・R・コヴィー |
帯3 ノースウェスタン大学ケロッグ経営学大学院教授 ラム・チャラン |
帯4 マリオット・インターナショナル会長兼CEO J・W・マリオット・ジュニア |
帯5 リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー プレジデント兼CEO エルベ・ユムラー |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに 戦略と実行 | p.20 | 19分 | |
第1部 実行の4つの規律 | p.47 | 80分 | |
第2部 4DXのインストール:チーム編 | p.157 | 103分 | |
第3部 4DXのインストール:組織編 | p.299 | 85分 |
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