多くの維新志士を育てた幕末の思想家、吉田松陰の言葉を超訳した1冊。30歳の若さで亡くなりながら、明治維新の原動力となった吉田松陰の生き様から何を学ぶことができるかを解説しています。より良い人生を送るヒントが見つかるかもしれません。
■行動をもって信念を貫く
ペリーが黒船を連れてやってきた時、兵法の専門家であった25歳の吉田松陰は、しばらく「どうやって西洋を倒そうか」虎視眈々と作戦を立てていた。だが実際に黒船の大砲を目にすると、むしろ外国のやり方を学んだ方がいいと発想を逆にしてしまった。鎖国である。海外渡航などすれば死刑である。だが、松陰は気にしない。
「今ここで海を渡ることが禁じられているのは、たかだか江戸の250年の常識に過ぎない。今回の事件は、日本の今後3000年の歴史にかかわることだ。くだらない常識に縛られ、日本が沈むのを傍観することは我慢ならなかった」
彼は「動けば道は開ける!」とばかりに、小舟を盗むと、荒波の中を漕ぎ出していって、そのまま黒船の甲板に乗り込んだ。この一歩が、後の明治維新という大きな波を生む事になる。
松陰は生まれた時から空気のように存在していた「しきたり」を破り、行動をもって自分の信念を貫くのをよしとした。
■「負けん気」を育てる
いくら知識を増やしてもしょうがない。物事には本質と枝葉がある。枝葉が知識なら、本質は「どう生きたいのか」という志である。この志を言葉にし、いつも懐に携えていれば、どこへ行って、誰と会い、何を見て、何を聞いても、あらゆるものが道を明るく照らす光となる。
どうすれば人は志を立てられるのだろうか。その源は負けん気にある。素晴らしいものと出会った時、「自分も同じ人間だ。負けてなるものか」と発憤する事ができるかどうか。ただそれだけである。志のために行動をする。そして志のために行動したからこそ、はじめてその学問を理解できたと言える。
■自分が先頭を切る
まずは自分から熱くなること。自分から動き出すこと。その姿を見て、冷ややかになったり、離れていったりする人もいるだろう。だが同時にその想いを受け止めて、一緒に熱くなってくれる人も必ず現れる。表裏一体。
誰かにとって否定的な事は、誰かにとって肯定的な事でもある。だから自信をもって好きな事は好き、嫌いなものは嫌いだと言えばいい。
■終わりを意識する
享楽にふけることで、一時的に忘れることはできる。終わりを意識できるのは人間だけだ。人生は長いと思う人もいる。人生は短いと思う人もいる。だが本気で生きるという事は、「わずかな残り時間で何ができるか」を必死で考える事によく似ている。やり残している事を、臆せずにやればいい。死を意識すれば、人の「生」は否応なく正解を導き出すはずだから。
著者 池田 貴将
リーダーシップ・行動心理学の研究者 大学在籍中に世界No.1コーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズから直接指導を受け、ビジネスの成果を上げる「実践心理学」と、東洋の「人間力を高める学問」を統合した独自のメソッドを開発。 リーダーシップと目標達成の講座を開始すると、全国の経営者・役職者からたちまち高い評価を得た。また安岡正篤、中村天風、森信三の教えを学び、東洋思想の研究にも余念がなく、中でも最も感銘を受けた吉田松陰の志を継ぐことを自らの使命としている。
日本経済新聞 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
PROLOGUE | p.3 | 1分 | |
心 MIND | p.24 | 7分 | |
士 LEADERSHIP | p.72 | 6分 | |
志 VISION | p.116 | 6分 | |
知 WISDOM | p.158 | 5分 | |
友 FELLOW | p.194 | 4分 | |
死 SPIRIT | p.224 | 3分 | |
あとがき | p.243 | 0分 |
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