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2013/06/11更新

なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか?

157分

3P

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おいしいものをつくるだけでは不十分

飲食店を経営しようとする人がやってしまいがちな失敗は、「おいしいものさえ作れば、お客さんは勝手に来る」という考え方だ。飲食店において「味」は重要だが、味だけで店に通う人ばかりではない。

最初は「おいしい!」と思っても、味というのはみんな慣れてしまう。結局、おいしいか、おいしくないかというのは、お客さまが感じる事であり、作り手側が決める事ではない。だから作り手として心を配っているのは「ちゃんと埜庵の味になっているか」という事だけ。そして、氷づくりからシロップの原材料、つくり方の工夫などのストーリーをできるだけお客様に伝えていくようにした。同じかき氷を食べても、ストーリーを聞いて共感して食べるのとでは、味の感じ方が大きく違ってくる。

お客さんの要望に応えるだけがニーズではない

埜庵のかき氷は1杯800〜900円する。「量を少なくして、値段を下げて」という事は必ず言われた。でも、それは頑なにやらなかった。今は「お客様の言っている事がすべて正しい」という話になりがちだ。でも、それはマクロのビジネスの視点であって、個人でやっている店は、すべての人たちの満足を目指すというより、「その店を必要としてくださるお客様を作っていく」という事が重要である。値段を下げなかったから、「手間とコストをかけたかき氷」という市場ができている。その結果「1年中かき氷を出す専門店」というお店の形態もできるようになった。

お客様の思っている要望に応える事だけがニーズではなく、「お客様も予期していないものを、こちらがきっちりと提案する」という事が、本当のニーズだ。自分の中に「ブレない核」のような考え方があって、その上で「どういう方向に持っていくか」という事が大事である。

集客よりも大切なのはお客さんとの関係

「共通の趣味」を持っている人たちは、横のつながりが強い。埜庵が開業した数年は、ブログやmixiが全盛の時代で、趣味などのつながりによるコミュニティが形成されていた。はじめに意識したのは、「犬を飼っている人のお客様」だった。その中の方がブログやmixiで発信してくれると、いきなり十数人の方々がお店にやって来て下さる。次に意識したのは「自転車に乗る人」たち。来店した方から広がっていって、みんなが一緒にツーリングで寄って下さるようになった。

お店にとって、一番大切な事は「何度も足を運んで下さる」というシンプルなものの見方で、純粋にお客様との関係をつくる事だ。そして、同じ1000人でも、100人に10回来て頂く方が個人のお店に合っている。「利益」を最大限に上げるというより、「継続」する形をつくるのだ。