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2013/06/12更新

経済成長って、本当に必要なの? (ハヤカワ・ノンフィクション)

442分

5P

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経済成長を目指して我々は幸せになれるのか?

本当に経済成長を追い求めることが、人々を幸福にするのか?
そもそも、経済の目的とは何かという問いに立ち返り、幸福学の視点から、現状の経済成長至上主義の問題点を指摘しています。


■GDPには欠陥がある
GDPの成長ばかりを目標とする狭い見方が、経済政策を支配している。アメリカのGDPは、国内で生産されて販売されたモノの価値を測る。この指標は、暮らしを豊かにしてくれるたくさんの事柄は全く勘定に入れない。以下は、皆GDPにはプラスとして勘定される。

環境汚染(環境対策)、犯罪(盗難対策)、健康被害(医療コスト)、家庭崩壊(弁護士費用等)、借金・破産(法的費用)、資源の欠乏(資源価格上昇)。

一方、以下はGDPが勘定に入れない。

自然、持続可能性、運動、人との交わり、ボランティア活動、家事、品質。

GDPを見直す事は、健全な経済、雇用、人々の幸福、子供達の未来にとって極めて重要である。何が人々の暮らしを良くするのか、という点に注目しなければならない。

超短要約

■そもそも、経済とは何のためにあるのか
経済が目指すゴールな何なのか。もっと多くのモノを手に入れる事か。レジャーをもっと楽しめる事か。社会保障は少なくても税金が安い事か。公正な社会か。健全で持続可能な環境か。不安のない引退後の生活か。

調査によれば、多くのアメリカ人は友人や家族と過ごすためにもっと時間が欲しいと考えているという。にもかかわらず、私達は親の世代よりもさらに多くの時間を、仕事と通勤に費やしている。経済はより長時間の労働を要求するようになって、友人や家族と過ごすレジャーの時間は一向に増やせない。その上、長時間働いているにもかかわらず、アメリカ人の80%は、10年前よりも収入が減っている。中流階級を豊かにするというビジョンが「仕事があれば幸運だ」というレベルに置き換わってしまった。

第二次大戦後、アメリカは貧困を減らし、世界の中でも最大の中流階層を作り上げた。国民の寿命の長さも健康状態も他国から羨まれており、誰もが引退後は何不自由なく暮らせた。だが現在では、国民の健康、教育、経済の安定その他の尺度で見て、アメリカ以上に成功している国は数多くある。

■本当の幸せを考える必要がある
よりたくさん働き、いつも時間に追われ、心配事を抱え、人とのつながりを減らし、より孤独になり、寂しさを紛らわすために金を使い、そのためにさらに働き、「経済成長」が実現する。世界一裕福なアメリカで、人々はますます陰気になる「踏み車」の上を走り続けている。

アメリカは今世紀に、もっと良い経済を手にする事ができる。それには、労働力、テクノロジー、資源、資本の再配分が不可欠である。そのためには、民間と公共の投資が必要だ。だが、その金の大半は、実際のモノもサービスも生み出す事なく、運任せの富の再配分で回されているに過ぎない。

まず基本的な問いに立ち返らなければならない。そもそも、経済とは何のためにあるのかという問いである。そしてGDPや経済成長に代わる「本当の幸せ」を皆で考える必要がある。

著者 ジョン・デ・グラーフ

作家、ドキュメンタリー番組・映画の制作者。 米国・カナダで時間と超過労働の問題に取り組む組織「時間を取り戻そう(www.timeday.org)」 のエグゼクティブ・ディレクター。人々の幸福度を調査するプロジェクト「ハピネス・イニシアチブ(www.sustainableseattle.org) 」のディレクターも務める。 ドキュメンタリーテレビ番組のプロデューサーとして、PBSのスペシャル番組を15本手がけ、100以上の受賞歴がある。全米各地で超過労働や過剰消費に関する講演を行う。

著者 デイヴィッド・K・バトカー

経済学者 「アース・エコノミクス(www.eartheconomics.org)」のエグゼクティブ・ディレクター。アース・エコノミクスは、実践的な非営利団体で、生態系サービスの確定、評価、マップ化、モデル化を行う。 また、40カ国以上でさまざまな環境問題の実践的解決にたずさわり、世界銀行などで国際金融政策改善にも関わっている。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.13 12分
第一章 GDP 国内総生産 p.27 23分
第二章 幸福の追求 p.53 19分
第三章 人々によい生活を提供する p.74 27分
第四章 膨大なコストをかけても不健康 p.104 20分
第五章 暮らしの不安 p.126 22分
第六章 時間に追われる p.150 27分
第七章 最大多数にとっての幸福 p.180 20分
第八章 能力(キャパシティ)の問題 p.202 25分
第九章 持続可能性 p.230 32分
第十章 アメリカ経済の歩み p.266 22分
第十一章 よい時代がいつなぜ悪くなっていったのか p.290 22分
第十二章 住宅、銀行、融資、借金、破産、差し押さえ、失業、通貨…収拾のつかない混乱 p.314 19分
第十三章 二一世紀の経済―生命と自由と幸福のための経済 p.335 18分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

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