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ドン・キホーテの驚くべき経営の裏側

ドン・キホーテ創業者が語る小売経営論。起業から現在に至るまでの物語、消費者の心理をつかむマーケティングや独自の手法で編み出された戦略が紹介されています。23年連続で増収増益を達成しているその経営の裏側が明かされます。


■ドン・キホーテの原点
ドン・キホーテにはその源流となる店がある。ドン・キホーテ1号店の開業10年ほど先立つ1978年、創業者の安田隆夫が29歳の時、手持ちの全財産800万円をつぎ込んで東京・杉並区西荻窪に開いた店「泥棒市場」である。

ドン・キホーテは「泥棒市場」の成功と失敗の上に立脚している。たった18坪の零細店には、店名が面白がられた事もあり、オープン直後はたくさんのお客が詰めかけた。しかし、その後はぱたっと客足が止まり、店内には閑古鳥が鳴いた。「問屋から仕入れて売れば何とかなるだろう」との甘い考えが通用するほど甘くない。1日の売上が4〜5千円の日もあった。対する家賃は月25万円である。資金はあっという間に底をつき、金がないから仕入れができない、仕入れができないから売れないという悪循環に陥った。

追い詰められ一計を案じた。そもそも金も信用もない私がまともな仕入をやって勝てるわけがない。そこで大きなメーカーや問屋の倉庫の裏口を日参し、廃番品やキズもの、サンプルや返品商品などの処分品を格安で分けてもらえないか掛け合った。

超短要約

■流通業の本質は局地戦を勝ち抜く格闘技だ
どんなに大きな企業になっても、流通業は局地戦である。そこに、まことしやかな理論や理屈はない。今後のわが国は、消費全体のパイが縮小するため、他からパイを奪い取るしか自社の成長はあり得ない。だからこそ、それぞれのエリアで勝ち抜く各個店の部分最適が集まって初めて、強いチェーンという結果的な全体最適が生まれるのだ。

■主語を転換させる
「お客さま第一主義」は他社と同質化していて、形骸化しがちである。そこで行き着いたのが「顧客最優先主義」である。この究極の姿は「仮に自分がお客さまだったら、いったいどうして欲しいかを具現化すること」と捉えている。

もちろん商人なら全員「売りたい、利益を上げたい」と常に思っているだろう。一方「売上に貢献して儲けさせてやろう」というお客はいない。ならば「ドンキに来て面白かった、得をした」と思って頂こうというのが基本姿勢である。つまり、主語を転換して、徹底して買う側に立った発想をするという事だ。

■驚安感を演出する
お客が常に求めているのは、期待以上の安さと、それに伴う品揃えの豊富さ、そして買い物の楽しさである。問われるのは「驚安感」あふれる店に映るか否かだ。これはひとえに、現場担当者の工夫と采配にかかっている。だからこそ、ドン・キホーテでは値づけの権限を現場に委譲している。

ドン・キホーテが最も得意とするディスカウントは「サプライズのある安さ」とお客の予定調和感を外した「意外性のある安さ」の提供である。

■圧縮陳列とPOPの洪水
「流通でモノを売る」ドン・キホーテの双発エンジンの1つが「圧縮陳列」だ。現在は1坪平均約80アイテムの陳列量が基本だ。ドン・キホーテの存在そのものが珍しくなく、顧客層も広がっているから、圧縮陳列にもある程度の分かりやすさが必要になる。

但しお客に手の内が全部知られてしまうのは困る。そんな「分かった」感を与えると、次からは必要なモノが発生しない限り来店してくれなくなる。そうではなく、常にお客の「見落とし感」が残るように演出し、お客が「後ろ髪を引かれながら」店を出るような気持ち、即ち「近いうちにもう一度来たいな」と思って頂かなくてはならない。常にそんな状態を維持するため、ドンキではしょっちゅう改装を繰り返し、変化とメリハリをつけている。「常にチェックしないと気が済まない店」にすること。これがドンキの店づくりにおける、要諦中の要諦である。

もう一方のエンジンが「POPの洪水」だ。買い場のありとあらゆる場所で「モノ言うPOP」が、文字通り洪水のように迫ってくる。「モノ言う」とは、単なるお店のお勧めレベルの訴えではない、価格や味、機能など「お勧めの理由」が、自信を持って明確かつ具体的に「断言」されている状態を指す。

著者 月泉 博

1954年生まれ。シーズ代表取締役 山一證券、流通誌編集記者などを経て、1991年株式会社シーズを設立し代表取締役に就任。商業開発ディレクターとして、SCや大型商業施設、新業態開発などにおける調査、企画、指導業務にあたる。

著者 安田 隆夫

1949年生まれ。ドン・キホーテグループ創業会長兼最高顧問 大学卒業後、フリーターを経て、1979年ディスカウントショップ「泥棒市場」を創業。翌1980年株式会社ジャスト(現ドン・キホーテ)を設立。 泥棒市場は繁盛店となるも5年で売却。1983年株式会社リーダーを設立し卸売業に参入。同社を関東有数のディスカウント問屋に成長させた。 1989年東京・府中市にドン・キホーテ1号店を開業、以来、急速な多店化を進め1996年12月に日本証券業協会に店頭登録し株式公開(現JASDAQ市場) 。 2015年にドンキホーテホールディングス代表取締役会長兼CEOを退任。

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土井 英司

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
編著者まえがき p.1 2分
序章 ドン・キホーテってどんな企業? p.9 18分
第1章 流通大激変時代の突破力 p.41 37分
第2章 「ドンキ流」勝ち残り戦略の真髄 p.107 52分
第3章 若き商人と起業家へ贈る言葉 p.201 24分
著者あとがき p.244 2分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

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