情報マーケティング戦略の世界的第一人者が、ソーシャル時代のブランドのあり方を紹介した1冊。
■ミレニアム世代が消費社会を変える
アメリカの人口の1/4が、ミレニアム世代と呼ばれる若者たちである。7700万人のアメリカ人が、1970年代後半から90年代に生まれている。その世代の2/3がすでに21歳を超え、その多くがキャリアや家族を築き、多大な影響力を持っている。
世界のミレニアム世代の86%は、好みのブランドをネットで紹介し、自己表現の手段としている。彼らは関係者や専門家による情報の価値を重んじながらも、購入の決定にはさらに多くの情報を求める。情報源は、家族77%、友人64%、検索エンジン21%、専門家のWebサイト21%、同僚20%、独断8%。
彼らがつながりを持つのは、家族や友人だけでなく、ブランドとも提携関係にある。ミレニアム世代の20%近くが、過去30日間にブランドが開催するイベントに参加し、その内65%が商品を購入している。
そして、アメリカのミレニアム世代の消費者の70%が、信頼するブランドの新製品を試し、その大半が、試した体験をネットで公開するという。彼らの内70%が新しい流行を友人から学び、36%が友人に紹介された商品を1週間以内に購入している。
■消費者の心理行動をポジティブな方向に導く
つながる消費者と結びつくには、コミュニティの一部にならなければならない。ビジネスやマーケティングやエンゲージメントに取り組む時と同じように、ソーシャル・ネットワーキングに取り組まなければならない。
共感は、ソーシャルメディアにおいて、意味深い交流と関係を引き起こす強力な媒介となる。共感を集めるためには、コミュニティとマーケットを動かし、親近感を生み、価値を伝え、帰属意識をつくるものを感じさせなければならない。そのためには、ただ聞いたり、モニタリングしたりするだけでなく、到達しようとする人々の真の仲間になるための動態解析をしなければならない。
つながりの土台となるものは、意味、有意味性、帰属意識、目的である。そして、仲間になろうとする私たちの努力を測るのは、信頼である。共感を示し、注目と支持と親近感を獲得する能力を示すのが、エモーショナル・マーケティング・バリューだ。これを理解する事によって、ソーシャルな世界における消費者に対する取り組みが変わる。
そのためには、ブランドイメージを再考し、ブランドエッセンスを結び付け、つながる消費者の心と頭に植え付けなければならない。ブランドエッセンスを定義するための方法は次の通り。
①フォーカス:ブランドを定義する言葉を1つか2つ見つける
②フィーリング:消費者がブランドと接触した時に感じてもらいたいものを書く
③個人的:ブランドのコミュニティにおけるペルソナ、性格、特徴を考える
④実験的:商品やサービスを体験する時に何が起こるか考える
⑤一貫性:ブランドが日々伝えることに一貫性を持たせる
⑥信用:ブランドエッセンスを体験と結び付け、必要に応じて軌道修正する
⑦寿命:ブランドエッセンスを長く続くようにデザインする
⑧個性:人々がその一部に属したいと思えるような、有意性と個性を伝える
⑨可搬性:スケーラビリティを保持する
■エンゲージメントの法則
顧客のニーズを研究し、エンゲージメントの6つの要素を通していかに提供するかを特定する事は、企業がつながる消費者と絆を結ぶ助けとなる。
①価値:「大事にされていると感じること」が最も重要な要素である
②効率:顧客は素早く効率的に、しかもはっきりとした対応を求めている
③信頼:顧客は企業が信頼できなければ取引できない
④一貫性:一貫したサービスを提供する事で信頼が築かれる
⑤関連性:情報がパーソナル化された重要なものであればあるほど関心を向ける
⑥コントロール:手綱を握っていれば、顧客の体験を創出し、導くためのコントロールができる
著者 ブライアン・ソリス
フューチャーワークス代表 世界のメディア関係者が集まるコンベンションSXSWで、2年連続基調講演を頼まれた情報マーケティング戦略の世界的第一人者。 シリコンバレーを拠点とするPR会社フューチャーワークス代表。ソーシャルメディアを活かしたPR(PR2.0)をいち早く提唱し、その実現を目指す組織「ソーシャルメディア・クラブ」、「メディア2.0ワークグループ」の創設メンバーにもなる。 またソリスのブログは、「世界で最も影響力のあるマーケティングブログ」の一つとしても知られている。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
帯 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 客員教授 夏野 剛 |
帯2 シスコシステムズCEO ジョン・チェンバース |
tokuriki.com 徳力 基彦 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
まえがき | p.3 | 1分 | |
Chapter1 つながる消費者の静かな反乱が始まった | p.13 | 8分 | |
Chapter2 ミレニアム世代が引き起こした激震が、消費社会を変える | p.24 | 8分 | |
Chapter3 Webも現実もソーシャルグラフに収束する | p.36 | 12分 | |
Chapter4 情報伝達のパーソナライズ化をどう活用するか | p.53 | 13分 | |
Chapter5 ヒューマン・ネットワークこそ最強の媒介手段 | p.72 | 8分 | |
Chapter6 観衆をもつ観衆たちの関心を、いかに引きつけるか | p.83 | 15分 | |
Chapter7 エンゲージメントに不可欠な影響力を評価する | p.104 | 15分 | |
Chapter8 つながる消費者が起こしたネットワーク革命 | p.125 | 15分 | |
Chapter9 ソーシャル消費者にエンパワーメントとリワードを与える | p.146 | 15分 | |
Chapter10 魔法のような購買体験と共有世界の創造 | p.168 | 15分 | |
Chapter11 エンゲージメントの責任者には管理職がふさわしい | p.189 | 12分 | |
Chapter12 消費者の心理行動をポジティブな方向に導く | p.206 | 18分 | |
Chapter13 顧客の声を聞くことが、エンゲージメント到達への第一歩 | p.232 | 18分 | |
Chapter14 顧客を魅了し、強力なエフェクトを引き起こす法 | p.258 | 15分 | |
Chapter15 顧客のためを思い、顧客が幸せになれば、ビジネスは成長する | p.280 | 20分 | |
Chapter16 世界を変えよう。企業に変化をもたらそう。今度はあなたの番だ | p.308 | 13分 | |
Chapter17 遺産、文化、伝統、栄誉に成長をはばまれた日本のブランド研究 | p.327 | 9分 |
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