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2013/05/17更新

トップになりたきゃ、競争するな―なぜ、業界最後発企業が世界にとびだすまでに成長できたのか

  • 藤井 薫
  • 発刊:2013年5月
  • 総ページ数:224P

144分

2P

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本質を掴む

その頃、コンサルタントから、香川県でつくる機械なら、誰もが美味しいうどんを想像させる地の利のある製麺機に特化すべきだと言われた。製麺機を究める事にした。やるからには頂点に立ちたい。トップに立つにはどうしたらいいのか考えた。それには、製麺機ビジネスの本質を掴み、そこにフォーカスして力を注ぎ込まねばならない。

「製麺機ビジネスの本質は、麺の美味しさである」と行き着いた。単なる製麺機ではなく、美味しい麺を打てる製麺機を研究した。

競争相手のいないところで営業する

最初は苦しい日々が続いた。どのように製麺機を売り込めばいいかわからない。そこで、競争相手のいないところに営業に行けばいいと閃いた。都市圏は激戦区。他の会社の営業マンが手をつけていなさそうな愛媛県南部からスタートし、四国内で売上を伸ばした。次に、地元で飲食店向けに業務用厨房機器を販売している会社に売ってもらった。

四国から九州、関西、東京へと全国展開を進めていくにつれ、うどん以外の麺に対する要望を受ける事が多くなり、ラーメン、そばの製麺機を開発した。

使命を明確にする

当初は、いい機械、美味しい麺ができる製麺機をつくれば売れるはず。そう信じて疑っていなかった。しかし、経営は決して楽とは言えず、どんなに頑張っても製麺業界でトップにはなれなかった。なぜトップになれないのだろうか考えた。

ふと、営業管理から受けた報告が頭をよぎった。同じ機械を導入しても、成功する店と失敗する店がある。もしかしたら、機械を売る以上にできる事があるのではないか。お客様が失敗しないように、お手伝いするのが本当の仕事、つまり使命なのではないか。もう一度「本質」に立ち戻ろうと思った。

お客様が本当に願っているのは、製麺機そのものではなく、製麺機によってもたらされるお店の繁盛だ。だとしたら、当社の使命は「麺専門店繁盛支援会社」だ。

そこで、業界初となる「365日メンテナンス」を打ち出した。お客様の信頼を得る事ができ、さらにシェアを伸ばしていった。1999年には、製麺技術だけでなく、経営や運営ノウハウも講義する「大和うどん学校」を設立した。

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最初の20年はビジネスが軌道にのらず、資金繰りの心配が絶えなかった日々だった。しかし、それでも打ち込んでやっていると、あるポイント(閾値)で苦痛が消え去り楽しくなる。どんなに努力しても報われなかったものが、閾値を超えるといきなり実を結ぶのである。

2005年、小型製麺機におけるシェアで1位になった。トップになると、周りが一気に変化した。一部上場企業、大手企業からも製麺機に関する問い合せがくるようになった。「うちは製麺機メーカー」という気持ちで仕事を続けていたら、シェア逆転はあり得なかっただろう。