40社以上の就職面接で落ち、定職もお金も何もないどん底から、ベストセラー作家になるまでの人生を振り返り、人生を生き抜くには野心が大切だと説く人生論。
■上を目指さなければ、充足感は得られない
人気を得た芸能人がデビューのきっかけを訊かれて、「友達からオーディションについてきてくれって頼まれただけだったのに、なぜか私がたまたま受かっちゃって」と恐縮している風を装うパターン、ほぼ100%、嘘である。
人は自覚的に「上」を目指していないと、「たまたま」とか「のんびり」では、より充足感のある人生を生きていく事はできない。富士山を目指さなくても、谷川岳くらいでいい。自分の身の程を知る事も大切だが、ちょっとでもいいから、身の程よりも上を目指してみる。そうして初めて選択肢が増え、人生が広がっていく。
いま、「低め安定」の人々が多すぎる。なぜ野心が希薄な時代になってしまったのかというと、「とりあえず食べていく事はできる、まだまだ簡単に飢え死にしない世の中」が、その大前提にあると考えている。「まあ、なんとかなるさ」と、自分の将来さえ真剣に考えようとしない人々ばかりが暮らす国の未来はどうなるのか。
■野心の履歴書
就職活動の時を迎え、出版社や銀行など40社以上の就職試験を受けまくった私は、のんべんだらりと大学時代を送ったツケで、見事に全社から不採用通知を貰った。太った身体にトロい顔、何の資格も持っていない、おまけに大学の成績も悪かった女を社員として雇ってくれるほど、世間は甘くなかった。
私は貰った40通以上の不採用通知の束をリボンで結んで、宝物にしていた。きっと、今にこの不採用通知の束を懐かしく眺める日が来るだろうと信じていたからだ。
大学を卒業してからは、日雇いで日給1800円の印刷工場の工員などをした後、少しでも高給を得るべく、千葉のクリニックでハゲのおじさんに植毛する毛を注射針に一本ずつ入れていく、あまりに地味なアルバイトをしていた。
上池袋の家賃8600円、風呂なし4畳半のアパートに住んでいた。4枚入り40円の食パンで食いつないだ事もある。貧乏で先の見通しは何も立っていなかったが、落ち込むほどの悲愴感はなかった。定職もない、お金もない、男もいない。何も持っていなかったから逆に不安材料がはっきりしていて、自分で1つ1つ手に入れなければ仕方ないという気になれたのかもしれない。
ある日、アパートの向かいの部屋に住んでいた女の子に会い、彼女がコピーを書いたという巣鴨信用金庫のパンフレットを見せてもらった。不遜にも「この程度なら書けるかも」と思った。コピーライターを目指そうと、「宣伝会議」のコピーライター養成講座に、アルバイトで稼いだ貯金14万円のうち12万円を支払い、アルバイトの傍ら講座に通う日々が始まった。
この講座で必死に頑張り、二番目の優秀賞をとった事で、その紹介で渋谷にある広告制作会社に就職する事ができた。人生のリセットは何度でもできる。
この最初の会社にいた期間、仕事は突き返されるし、いじめられた。どん底時代をどういう心持ちで耐え抜いたかというと、「私はこんなんじゃないはずなんだけど」という「???」の思いだった。たとえ根拠が薄い自信でも、自分を信じる気持ちが、辛い局面にいる人を救ってくれる事はある。
その後、転職したゆるい広告会社で毎日ダラダラ過ごした。適当にやっていればお金を貰えるから割り切って仕事をしようと決めたが、全然楽しくなかった。そこで、なぜ、今の自分はこんなにつまらないんだろうと突き詰めて考えた。「私は華やかな場所で、ちゃんと一流の広告の仕事がしたいんだ」と自分が何を求めているか理解した。
そこで糸井重里さんのコピー塾「糸井塾」に通い、最初の本『ルンルン』がベストセラーとなった。
著者 林 真理子
1954年生まれ。小説家 コピーライターとして活動の後、1982年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーに。1986年『最終便に間に合えば/京都まで』で第九四回直木賞を受賞。1995年『白蓮れんれん』で第八回柴田錬三郎賞を、1998年『みんなの秘密』で第三二回吉川英治文学賞を受賞。 小説のみならず、週刊文春やan・anの長期連載エッセイでも変わらぬ人気を誇っている。直木賞など数多くの文学賞で選考委員を務めている。
情報考学 Passion For The Future 橋本 大也 |
マインドマップ的読書感想文 smooth |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
日本経済新聞 |
週刊 東洋経済 2013年 6/8号 [雑誌] |
THE 21 (ざ・にじゅういち) 2013年 07月号 [雑誌] 元杉並区和田中学校校長 藤原 和博 |
日本経済新聞 2回目 |
THE 21 (ざ・にじゅういち) 2013年 11月号 [雑誌] ジャーナリスト 竹田 圭吾 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 5分 | |
第1章 野心が足りない | p.15 | 17分 | |
第2章 野心のモチベーション | p.45 | 14分 | |
第3章 野心の履歴書 | p.69 | 29分 | |
第4章 野心と女の一生 | p.119 | 31分 | |
第5章 野心の幸福論 | p.173 | 11分 |