世界中で累計600万部を売り上げたマネジメント教科書の著者が、マネジメントに関して学術研究に基づく59のケーススタディを紹介しています。
■採用
①第一印象はあまり正確ではない
面接において第一印象は結果に強力な影響力を持つ。しかし、人は第一印象と矛盾する情報を後から受け取った場合、割り引いて聞いたり、無視したりしてしまう。
②性格よりも過去の行動に注目する
ほとんどの組織は社員を選ぶ際に性格をかなり重要視する。しかし、性格が行動を左右する度合いは会社組織のように制約が強い環境では低くなる。従業員の行動を一番予想できるのは、過去の行動を見る事である。
③他の条件に優劣がなければ、できるだけ頭のよい人を雇う
知能は、業績に影響を与える、最も重要な要因である事も多い。
④誠実な人を採用する
人のパーソナリティ(外向性、人当たりの良さ、誠実さ、情緒の安定性、経験に対する積極性)の中で、業績と最も関係があるのは「誠実さ」である。
⑤職務と相性のよい人を探す
パーソナリティには、現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的の6つがある。人はパーソナリティに合った職場に配置された時に、最も充実感を抱く。応募者が職業に何を求めているかを見極めるべきだ。
■コミュニケーション
①効果的な聞き方とは、受動的ではなく能動的なものだ
「聞く」とは、聞こえた音を理解することだ。聞き方のスキルを向上させるには、次の行動をガイドにする。
アイコンタクトを取る、同意する場合はうなずき、適切な表情を見せる、集中を妨げる行動やしぐさは避ける、質問をする、言い換える、話し手を遮らない、話しすぎない、話し手と聞き手の入れ替わりをスムーズにする。
②行動は言葉に勝る
言葉と行動にずれがある時、人が注目するのは行動の方だ。言葉と行動の不一致は、マネジャーが従業員との間に信頼関係を築こうとする際に最も悪い影響をもたらす。
■チーム作り
①有能なチームを作るには4つの構成要素を満たす
・職務設計(従業員に自由と自主性、様々なスキルや才能を利用する機会)
・構成(専門知識・技術を持つ人、問題解決および意思決定スキルを持つ人、対人スキルに優れた人)
・状況(適切な資源、有能なリーダーシップ、業績評価と報酬システム)
・プロセス(メンバーのコミットメント、具体的な目標設定、効果的な情報共有、ある程度の衝突)
②2+2は4にならない
チームは負の相乗効果を生み出す事も多い。個人は集団で働いていると、個別に働いている時よりも少ない労力しか使わない。理由の1つは責任の消散だ。一人当たりの成績はグループの大きさに反比例して低下する。個人の努力を認めて評価する方法も用意する必要がある。
③多様性が価値を生む
不均質なチームの方が均質なチームより業績が良いという結論が概ね裏付けられている。多様性が衝突を引き起こし、それが創造性を刺激し、その結果より良い意思決定ができる。
■職務設計
①働く人の大多数がチャレンジングな仕事を望んでいるという確証はない
仕事に成長の機会を見出す事を期待していない人も多い。仕事にはやりがいが求められるものだと最も声高に主張してきたのは労働者ではない。大学教授や社会科学の研究者、メディアなのだ。
②職務設計を改善し、生産性を高める
多くの人が仕事に求める共通の特徴が4つある。この特徴を取り入れて仕事を魅力的なものにすれば、従業員のモチベーションが高まり、生産性は向上しやすくなる。
・タスクを統合する(従業員を多様な職務に携わらせ、その意義を認識させる)
・顧客との関係を確立する(担当者と顧客の間に可能な限り直接的な関係を築く)
・職務を垂直方向に拡大する(責任と管理権限を従業員に与える)
・頻繁にフィードバックを行う(従業員に業績の水準を知らせる)
元サンディエゴ州立大学教授 マネジメントと組織行動学の分野における世界一のベストセラー教科書作者。著作はアメリカの1500校以上の大学やカレッジで使われ、19言語に翻訳されている。 現在、シェルオイルとレイノルズ・メタルズの経営陣に参加している。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.9 | 2分 | |
第1部 採用 | p.13 | 18分 | |
第2部 モチベーション | p.49 | 17分 | |
第3部 リーダーシップ | p.83 | 23分 | |
第4部 コミュニケーション | p.129 | 10分 | |
第5部 チーム作り | p.149 | 10分 | |
第6部 衝突の処理 | p.169 | 8分 | |
第7部 職務設計 | p.185 | 4分 | |
第8部 業績評価 | p.193 | 8分 | |
第9部 変化への対応 | p.209 | 10分 |