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2013/05/01更新

ハーバードが教える 10年後に生き残る会社、消える会社

290分

5P

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世界が持続的な繁栄を手に入れるために必要なこととは何か

ハーバード・ビジネススクールの100周年記念サミットに参加した世界のビジネス・リーダー達の意見をまとめ、新たな資本主義のあり方を提示。資本主義がもたらす不平等や格差、環境破壊といったマイナス面を抑え、持続的な繁栄を手にするために果たすべきビジネス・リーダーの役割を説く。


■世界の経営者が警告する迫り来る危機
最上級のビジネス・リーダー達は、世界の市場システムに対する潜在的な混乱要因として、11の脅威を挙げている。

①世界金融システムの危機が再燃
②増大する貿易の障壁(保護主義の台頭)
③不平等とその結果として発生するポピュリズム
④移民の増加による不安定化
⑤環境破壊の悪化
⑥法の支配の機能不全
⑦教育と公衆衛生の機能不全(不十分な公教育による格差拡大)
⑧国家資本主義の台頭(ロシア、中国、インド等)
⑨急進的運動、テロリズム、戦争
⑩伝染病の流行
⑪現行制度の欠陥(短期的な成果への圧力、無能、腐敗まみれの中央政府、無力な国際制度)

超短要約

市場資本主義を巡るプラスの結果(繁栄、成長、イノベーション、自由、機会)とマイナスの結果(不平等、搾取、環境汚染、資源枯渇、金融の不安定化)、システムの機能に必要な3つの前提条件(基本的な制度、社会・政治的な条件、資源の流れ)、システムを脅かす混乱要因(気候変動、テロ、戦争、政治的混乱など)は、相互に作用し、多くの場合、正もしくは負のスパイラルを創り出す。正のスパイラルであれば資本主義の持続可能性を補強するが、負のスパイラルはその持続可能性を弱体化させる。

こうした市場システムの持続性を保証し、社会に対する貢献度を向上させたい場合、ビジネス界は重要な役割を果たせる。市場資本主義を積極的に再構築するに際して、ビジネス界には新たな創造的役割を担う能力と義務がある。

問題解決に取り組む際、公共組織が民間組織より高い道徳観を発揮する訳ではない。残念ながら、いずれの組織にせよ腐敗と無縁ではない。

市場システムの社会貢献度を向上させるには、公共と民間という組織の垣根を越えた協調路線での努力が必要となり、この努力を推し進めるには、ビジネス界のリーダーシップが必要となる。

企業レベルの行動で難題を解決した事例には次のものがある。

・GEの環境戦略「エコマジネーション」
クリーン技術の開発投資を行い、90種類以上の商品・サービスを生み出し、180億ドルの売上高を計上した。

・チャイナ・モバイルの地方通信振興戦略
低コストで農村住民に手の届くサービスを提供し、大きな利益と同時に情報格差を縮小させ、大勢の農村住民の所得と生活水準の向上を実現させた。

・シプラの貧困国市場開拓
インドのジェネリック医薬品会社シプラは、世界の最貧地域に低コストの抗レトロウイルス薬を普及させ、AIDS患者数百万人が治療を受けられるようになった。

ビジネス・リーダーは企業の基幹事業を通じて難題の解決に取り組める。新たなビジネスモデルの導入によって、繁栄を謳歌しながら、環境汚染や金融市場の乱高下など、市場システムの致命的欠陥の改善を促す事もできる。

著者 ジョセフ・バウアー

ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)経営学教授 40年以上にわたり「経済的・社会的・政治的環境の大きな変化に、リーディング・カンパニーが直面する難題」をメインテーマに研究。HBSの上席副学長、一般経営プログラムの創立座長、政府高級官僚向けのHBS‐HKSプログラムの共同創立者、ハーバード・ケネディ・スクール(HKS)の公共経営講座の開発者を兼務。現在、ビジネス・スクールの教職員を率いて、新しいHBS‐HKS共同の修士向けプログラムに携わり、履修課程の策定に貢献している

著者 ハーマン・レオナード

ハーバード・ビジネス・スクール経営学教授 社会事業イニシアチブの共同座長やハーバード・ケネディ・スクール(HKS)のクライシス・リーダーシップ・プログラムの共同座長も務める。 HBSにおいては、主に「企業の社会的責任」と「ビジネス組織の社会志向部門のリーダーシップ」、HKSにおいては「大規模リスクの管理」を主に研究。経済学博士号の保持者でもある。

著者 リン・ペイン

ハーバード・ビジネス・スクール経営学教授、上席副学長、教職員能力開発部長 MBAの必修科目である「リーダーシップと企業アカウンタビリティ講座」の共同案出者として、エンロン事件後には全米産業審議会の「公的部門の信頼性および民間事業に関する特別委員会」の委員、2008年の世界金融危機後には、同審議会の「役員報酬に関するタスクフォース」の委員を務めた。 現在は、監査品質センターの運営委員、戦略国際問題研究所の“ガバナンスに関するヒルズ・プログラム”の顧問、全米産業審議会のガバナンス・センターの顧問を務めている。

この本を推薦しているメディア・人物

日本経済新聞 日本経済新聞
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2014年 01月号 [雑誌] Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2014年 01月号 [雑誌]
帯
ローソン代表取締役 新浪 剛史
週刊 東洋経済 2013年 6/8号 [雑誌] 週刊 東洋経済 2013年 6/8号 [雑誌]

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.1 3分
第1章 大転換する世界経済とビジネスの変容 p.15 17分
第2章 2030年までに世界経済に何が起こるか p.37 24分
第3章 世界の経営者が警告する迫り来る危機 p.69 47分
第4章 マーケットはいかにして自ら脅威を生み出すのか p.131 17分
第5章 世界の経営者が考えるビジネス界の現在と未来 p.157 23分
第6章 ビジネスモデルの変革で危機をチャンスに変えた企業 p.187 29分
第7章 新たな資本主義の時代に求められる企業の役割 p.225 32分
第8章 ビジネス界の大再編が世界を変える p.267 29分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

経営者の役割 (経営名著シリーズ 2) 経営者の役割 (経営名著シリーズ 2)
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愚行の世界史(上) - トロイアからベトナムまで (中公文庫) 愚行の世界史(上) - トロイアからベトナムまで (中公文庫)
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