リーダーシップとフォロワーシップは時代と共に変化する
過去30〜40年のリーダーシップとフォロワーシップの変化は、特に2つの現象の結果起きた。
①文化的変化
昔は人が何を考えているかは気にしなかった。個人もその意見も、あまり重要視されていなかった。特に自分が全く知識を持たない事については気にしなかった。権威と信頼性のある専門家は口をはさめるだけの必要な知識と経験を持っているとみなされ、私たちはそれに従っていたものだ。
それが今や民主主義が行き渡り、地位の向上が誇張されて叫ばれるようになり、私たちは何にでも口を出す習慣がついてしまった。そのため、明らかに権威に敬意を払わないという事例が至る所で発生している。フォロワーの要求はさらに増し、リーダーは大抵の場合それに従うのが普通になった。
②技術的変化
通信技術の進歩により情報はますます増え、個人が自己表現する事が多くなり、人とのつながりも広範になった。このような情報の伝播によってリーダーが受ける影響は、またしても力の衰退である。権力の座にある人々の個人情報が暴露された時、彼らがいかに脆いことか。また、以前は限られたエリートだけが、最初は情報として入手したものを影響力として行使していたのだが、今ではそのような情報は、ネットのプロセスを経て広がり、拡散する。
文化が変化し、それに従って技術も進歩すると、フォロワーはリーダーの欠点や弱点に気づくようになる。弱点を知る事によって生まれてくるのは軽視だ。
リーダーにつき従う理想的な理由は、従いたいから従うというものだ。つまり、力、権力、影響力を持っている人物の品位と能力を純粋に信じているから、従うのである。このように資質が最も大事だとする場合、リーダーに資質が乏しいとなると、そこには失望と幻滅しか残らないのは当然だ。非常に多くのフォロワーにとって、現代のリーダーは無能であるか腐敗している。
リーダー中心の考え方はもはや時代遅れ
リーダーになる事がスローガンのように、繰り返し口にされている。リーダーシップビジネスは、この30、40年、爆発的に成長している。しかし、多くのフォロワーが、実際リーダーに従おうとしない時代において、従来の意味でのリーダー中心の考え方は、もはや過去のものである。
この変化を無視しているリーダーシップビジネスは4つの改革をしなければならない。
①会話を阻害するリーダー中心主義を終わりにすること
②近視眼的な状況の特定から脱却すること
③リーダー教育自体を厳しい分析の対象にすること
④映りゆく時代とともに変わること