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顧客体験が最高のブランドをつくる

グローバル化、ソーシャルメディアの台頭、技術や商品のコモディティ化により、企業の競争環境は激変した。日本企業のブランド戦略の弱点を指摘しながら、適切なブランド戦略の実践法を紹介。これからは用意周到に顧客体験をデザインし、粘り強く投資して実現したブランドが競争力を持つ時代だと説く。


■ブランドとは
日本の企業でよくあるブランドへの代表的な誤解として、以下の3つがある。

①ブランドは広告で形成するイメージの事である
②ブランドとは高級品の事である
③ブランドとはネーミングとロゴの事である

ブランディングという言葉はしばしば「広告宣伝」とほぼ同義に解釈されるが、ブランドとは本来「生活者の頭の中にある、企業や商品が提供する体験の価値と分かりやすい識別記号とがセットになった記憶」の事である。企業が市場競争力を高める上では、良い商品・サービスを作り込んで提供するだけでなく、対象市場の顧客から選ばれるよう、ブランド知覚価値を形成する必要がある。ブランド形成のメカニズムを公式化すると以下のようになる。

生活者のブランド評価 = 体験の魅力度 × 体験の量・時間 × 体験の一貫性

超短要約

多くの業界でモノや技術のコモディティ化が進んだ結果、モノを売るハードルは格段に高まった。製品そのものの品質をアピールしても、それだけでは価値として受け入れられない。今や、売らなければいけないのは製品単体ではなく、購入前から利用後までの一連の総体、つまり体験フローそのものだ。

まず体験フローを描き、その中の一つのモジュールとしてモノを考えるという発想を持つのが、これからのブランド戦略の王道である。そして、顧客にとっての体験価値を共創するパートナーを事業プロセスに取り込む「プラットフォーム」の発想が重要になる。

プラットフォーム化とは様々な製品・サービスを共通の技術基盤に載せ、そこにパートナーを加える事によってユーザーに価値を提供する事だ。そうする事で、複数のユーザーの間にネットワーク外部性をはたらかせて「相互ネットワーク効果」を生み出し、事業を自己増殖のサイクルに乗せるというメリットを発揮する。

プラットフォームは、自社だけではカバーしきれないユーザーのブランド体験フローにおける提供価値を高めるためには欠かせない考え方である。

プラットフォームを構築するには、次の4つのプロセスがある。

①生活者の感じている「大きな欠損・非効率」を発見する
②そこで提供する体験の価値を絞り込み、最大化する
③体験価値を高めるためにパートナーを引き込む
④周辺領域へプラットフォームを拡大する

大切なことは、ユーザーがブランドから受ける体験の価値を最大化する事である。そのために、第三者のパートナーやユーザー同士のコミュニケーションを促進できるプラットフォームの機能をうまく使いこなしていく事が求められる。

著者 川上 慎市郎

1972年生まれ。グロービス経営大学院准教授 日経BP「日経ビジネス」誌記者として企業取材に携わった後、日本経済研究センター研究員を経て、複数のビジネスメディアのネットマーケティング戦略の企画立案やシステム設計・コンテンツ開発等に従事。 その後、グロービスに入社し、マーケティングやネットビジネス領域のプログラムや教材開発、ビジネススクールや企業向け研修での講師を務めつつ、ケースメソッドによる経営教育の方法論の研究や指導にも携わる。

著者 山口 義宏

1978年生まれ。インサイトフォース代表取締役 ソニー子会社にて戦略コンサルティング事業の事業部長、リンクアンドモチベーションでブランド・コンサルティングのデリバリー統括、デジタル・マーケティング・エージェンシーにてタブレットソリューション事業マネジャーを経て、2010年にインサイトフォースを設立。 ブランド・マーケティング戦略の策定、商品・デザイン・CI・広告施策の支援、グローバル市場戦略・PDCAプロセスの定着支援を主業務とし、消費者向けの大手企業を対象とした戦略コンサルティングを行う。

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帯
クオンタムリープCEO 出井 伸之

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.3 4分
序 章 日本企業はなぜ負け続けるのか? ─ブランド戦略の「不在」と「失敗」 p.15 10分
第一章 知らないと恥ずかしいブランディング基礎の基礎 p.33 20分
第二章 「体験」が最高のブランドをつくる p.67 24分
第三章 体験価値を共創するプラットフォーム p.109 22分
第四章 進化するブランド戦略 p.147 29分
第五章 顧客体験価値デザインとブランド戦略の実践 p.197 67分
終 章 日本企業はまた勝てるか?─「理念」から「スキル」へ p.313 12分
あとがき p.334 5分

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