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2013/05/06更新

経済大陸アフリカ (中公新書)

235分

8P

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アフリカの時代はやってくるのか?

資源を求めて世界から投資が集中するアフリカ。一方で貧困問題が解決されないアフリカ。アフリカ経済の現在に焦点を当てながら、その可能性と課題を探る1冊。


■資源高騰により成長するアフリカ
製造業の生産拠点は安価な労働力を比較優位に持つアジアへとシフトしてきた。その結果製造業製品の価格は世界的に抑制され続けている。その一方で資源価格が急騰したから、資源と製品の相対価格が激変した。資源産業の収益率が高くなって資源国の取り分が増え、製造業部門に依存している東アジア諸国にとって不利な環境になった。当然、資源争奪戦は激しくなった。

資源開発新時代の到来が、長く低迷していたアフリカを激変させた。対アフリカFDI(国外直接投資)の年増加率は30%を超え、世界総額や対アジアFDIの伸び率を上回るようになった。2008年にはアフリカ全体で720億ドル、サブサハラ・アフリカだけでも500億ドルのFDIが流入している。2003〜2008年までの年平均経済成長率は、アフリカ全体で17%である。アフリカ経済は資源価格の高騰により成長期を迎えている。

超短要約

■中国のアフリカ攻勢
いまや中国はアフリカにとって最大の貿易相手国であり、投資においても外交においても極めて大きな影響力を有する国になっている。中国の原油輸入はアメリカに次ぐ世界第二位、鉄鉱石を含む鉱産物全体の輸入額は世界最大になった。石油の対外依存率は54.8%、鉄鉱石の依存率は53.6%になる。中国政府は製造業生産の維持拡大に必要な資源を国外で囲い込むための資源戦略をいち早く打ち立てた。そのターゲットの1つがアフリカだった。

中国は資源の不足と共に、国内における過剰投資と過剰生産、世界一の外貨準備を抱える。資源調達と同時に、投資先と市場を探し、外貨の運用先を開拓しなければならないのである。2008年の対アフリカ投資は55億ドルにのぼる。アフリカには多数の中国企業が進出していて、中小企業についてはアジアへの進出よりも多い。1999年にアフリカ全体で5万人と言われた中国人在住者は、2010年末には100万人に達したとも言われる。

中国の対アフリカ輸出は欧米諸国を抜き去り、他国との差を広げている。経済成長下で爆発的に拡大しているアフリカの需要はその多くを中国製品によって支えられており、他方中国はそこから利益を得られている。中国の膨大な資源輸入はアフリカ経済をうるおし、その成長をささえている。

その一方で、アフリカに深く関与した中国は、困難極まるアフリカ問題に対処しなければならない必要にせまられるようになった。選挙の経験すらない中国が他国に民主化を要求できる訳はない。民主化という手段を封印したままどうやってアフリカの投資リスクと戦うか。中国のアフリカ政策には、かつて欧米諸国が経験した以上の困難が潜在している。

■グローバル企業が主役
アフリカの現実は厳しい。経済成長率は高くても貧困問題はいっこうに解決されず、安定した社会基盤が形成されにくい。それゆえ政情は不安定で、政治リスクも小さくない。しかしそれでも経済が拡大しているのは、企業活動が活発で利益が出ているという事だ。

これまでアフリカに企業がなかった訳ではない。従来との違いは、国外からの投資が急激に増えてアフリカの生産力を押し上げている事だ。現在アフリカ諸国の経済成長率を左右している最大の要因は外からどれくらいの投資が入るかだが、投資の流入量を決めているのは政策ではなく、有望資源である。

アフリカ経済はロシア経済によく似ているが、決定的に異なるのはロシアのような強力な政府を持っていない事だ。それゆえ、アフリカではグローバリゼーションの力学が裸に近い形で観察できる。アフリカは、強大化した企業の力によって経済成長している。

著者 平野 克己

1956年生まれ。JETROアジア経済研究所上席主任調査研究員 在ジンバブエ日本国大使館専門調査員等を経て1991年にアジア経済研究所入所。その後、ウィットウォータースランド大学客員研究員、アフリカ研究グループ長、JETROヨハネスブルグセンター所長、地域研究センター長等歴任し、2012年よりJETROアジア経済研究所上席主任調査研究員。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
第1章 中国のアフリカ攻勢 p.1 38分
第2章 資源開発がアフリカをかえる p.59 26分
第3章 食料安全保障をおびやかす震源地 p.99 31分
第4章 試行錯誤をくりかえしてきた国際開発 p.147 46分
第5章 グローバル企業は国家をこえて p.217 29分
第6章 日本とアフリカ p.261 13分

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