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2013/04/08更新

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

  • 坂本 孝
  • 発刊:2013年4月
  • 総ページ数:240P

162分

8P

  • 古典的
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回転数を高めれば赤字にならない

ビジネスを組み立てる時に、心の中でいつも繰り返し考えている事は「競争優位性」である。これを差別化要因として、参入障壁を高く維持するのだ。新規業態に、立ち飲み居酒屋とミシュラン星付きシェフを合体させると決めた時、電卓を叩くと驚く結果が出た。お客様の回転数が上がれば、原価率60%の方が利益を出しやすいというのだ。ポイントは回転数。これは大きな差別化になる。店の回転数が高ければ、コスト的にかなり乱暴な事をやっても店の経営は安全だというのがわかった。

新業態でイメージした客層は、「丸の内で働く30代の女性3人連れで、肉料理をガンガン食べて、白ワインと赤ワイン、ボトル1本ずつじゃぶじゃぶ飲んで『明日も仕事がんばろう』と思って頂ける・・・」そんな人達で一杯の立ち飲みの店だった。

原価率を高めて回転数を上げるためには人口の多い、集客できる立地でなくてはいけない。条件のキーワードは「20坪」「1階」。新橋に偶然、1階の物件の紹介を受けた。そうして、2011年9月、新橋に「俺のイタリアン」がオープンした。その後、店舗展開をしていくが、15〜20坪程度で、いずれも1日3回転以上していて、月商1200〜1900万円という繁盛店となった。

料理人の不満を解消するのが鍵だった

「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」の重大な要素の一つは、3万円のフルコース料理をつくっていたシェフに、「客単価3000円の料理をつくって下さい」とお願いして、「はい」と言わせる事にある。これはかなり難しい事だった。

面接で、大抵の料理人は「海外で修業して得た技術、料理をお客様に提供したい」と言う。例えば、ホテルのレストランなら、年に数回しかメニューが変わらない。それでは、料理人としてのアイデアや技術を磨く場所がないのと同然ではないか。たくさんの料理人と面接して「飲食店にとって大切なのは、料理人に裁量権を与える事だ」と気付いた。これこそ、大企業には真似できない、後発の飲食業だからこそできる考え方である。

コストパフォーマンスが大切

飲食店の勝ち負けの要因は、差別化のポイントがあるかないか。飲食業における差別化とは「コストパフォーマンス」という事に尽きる。わが社では、縦軸に回転数、横軸に原価率という図表がバイブル的な存在になっている。業態を組み立てる時、この後は、その地域にはどんなお客様のニーズがあるか、そこだけを見破るだけである。

わが社は現在、銀座8丁目に集中して出店していく方針をとっている。銀座の定義は「一流の人しか集まらない、一流の店だけしか集まらない」というもの。過酷な競争の中で、さらに自社間競争を行い、全部の店をどんどんいい店にしていく事が大切である。