良い質問には相手を動かす力がある。仕事や日常など、様々なシーンで使える有効な質問337個を紹介。相手と打ち解ける、商品やアイデアを売り込む、相手から重要な情報を引き出すなど、実践的な質問の事例が満載の1冊。


■いい質問は安易な答えに勝る
いい質問は答えよりはるかに効力がある場合が多い。的を射た質問をされると、私達はいやでも考えさせられる。新たな視点から問題をとらえなおそうとする。そうする事で自分の思い込みに気づき、これまでの考え方を捨てる事になる。優れた質問は、人生で何が一番大切かを思い出させてくれる。

■これまでで一番やりがいがあった事は何ですか？
やりがいは達成感や幸福とは一味違う。夢や希望をかなえた時、私達はやりがいを感じる。一番やりがいがあった事を訊くと、必ずその人にとって特別の出来事に辿り着く。そこから強い絆が生まれる。

■これはあなたにできるベストですか？
誰かに能力を最大限に発揮して欲しい時に「これはあなたにできるベストですか？」と訊くといい。但し、全力を尽くして、限界まで努力して欲しい相手にしか使ってはいけない。この質問をされると、相手は高みを目指そうと奮い立ち、自分にできるベストとは何かを考えるだろう。

■イエスですか、ノーですか？
提案に対して確約を取りたい時、あるいは責任を持ってやり遂げてくれるか確かめたい時、質問の仕方はいろいろある。「◯◯に関してどう思いますか？」といったソフトな表現もある。だが、率直で直接的な答えをして欲しかったら、肯定か否定で答えなければならない質問をするのがいい。「イエスですか、ノーですか？」と。

■陳腐な質問はするな
企業リーダーが抱えている問題を理解したかったら、「夜中にふと目覚めて不安になるのはどんな事ですか？」などと陳腐な質問をしてはいけない。相手が何より重要だと思っている事を話題にして話に引き込む事である。時事問題について質問するといい。将来の展望を話題にするのもいいだろう。

陳腐な質問の例として、「想定外だった事は何ですか？」「まだお訊きしていない事はありますか？」がある。

■あなたにとって正しい決断は何だと思いますか？
極めて個人的な選択の場合、「あなたにとって正しい決断は何だと思いますか？」と訊くといい。そして、口をつぐむ。沈黙を破ろうとしてはいけない。相手が正しい答えを見つけるまで待つこと。

■もっと詳しく話してくれませんか？
「もっと詳しく話してくれませんか」と言うと、会話が弾み、驚くほどたくさんの情報が入ってくる。この簡単な問いかけは、相手から何か聞きたい場合、ほぼ例外なく使う事ができる。

自分の事ばかり話すと、相手はあなたを利口な人だと思ってくれるかもしれない。だが、相手の信頼を得る事はできない。

■これまでで一番幸せだった日はいつですか？
「これまでで一番幸せだった日はいつですか」という質問には、暗い雰囲気を一変したり、沈んだ気持ちを引き立てたりする力がある。もしかしたら、相手は答えられないかもしれないし、答えを一つに絞れないかもしれない。それはそれでいい。相手は気持ちを動かされ、強烈な印象を残した思い出のページをめくり始めているはずだ。

■あなたの計画を話してくれませんか？
自分の計画ばかり話してはいけない。聞き上手になりたければ、次の3つの原則を守ることである。「謙虚さ」「好奇心」「自分を知ること」

著者 ジェロルド・パナス

ジェロルド・パナス、リンジー&パートナーズ CEO 1968年の設立以来、大学や美術館、ヘルスケアセンターなど主に非営利の2,500を超える組織や団体に資金調達に関するアドバイスを行なってきた世界最大のコンサルティング会社、ジェロルド・パナス、リンジー&パートナーズのCEO。 フィランソロピーのトレーニングを提供し、「ドナー」を養成するInstitute for Charitable Givingの設立者でもある。

コンサルタント クライアントとの間に信頼関係を築き、実りある関係を持続させるスキルと戦略に関する著書で世界的に著名。 シティバンク、ゼロックス、コグニザントなど有名企業トップに対するコンサルタントとして30年におよぶキャリアを誇り、『ニューヨーク・タイムズ』『USAトゥデイ』『ハーバード・ビジネス・レビュー』など主要紙誌に大きく取り上げられた。