書評サイト「HONZ」を運営し、書評家としても著名な成毛眞氏の読書術。他人と差別化して、自分を生きるための読書のあり方を紹介しています。人生を豊かにするためには読書が大切であると説く。
■読書の仕方を変えろ
高所得階級の人間になるか、低所得階級の人間になるか、その境目となるのは本を読んでいるか、読んでいないかの違いである。但し、ただ本を読んでいるだけではダメだ。
例えば、ビジネスハウツー書ばかり読む人は、信じられない人種である。『金持ち父さん 貧乏父さん』系の本を読んでいる人、こうすれば儲かるという投資本や年収2000万円を稼げるといった本を読んでいる人は、まず間違いなく「庶民」のまま終わるだろう。なぜならば、他人のノウハウをマネしている限り、その他大勢から抜け出す事などできないからだ。
「今すぐ役に立つ」という事は、「すぐに役に立たなくなる」という事だ。人から与えられたノウハウに頼っている限り、変化に対応して自ら新しい発想や価値を生み出していく力は身に付かないのである。他人と差別化できるところは、衣食住のみならず生活のあらゆる場面にあるが、最も生き方に差がつくのが読書の仕方である。読書の仕方を変えるだけで、高所得階級になれる可能性が出てくるのだ。
■どう生きるべきかを考えろ
何も考えず、目の前にある仕事をこなして、アフター5には会社の同僚と飲みに行き、カラオケでストレス発散、朝は二日酔いで満員電車に揺られる毎日、そんな生活を10年、20年、30年と送っても、後には何も残らない。
本を読まないと、今現在の事しかわからない。だから皆と同じ生活を送る道しか見えないのだ。歴史や文化を知れば、現在がすべてではないとわかるはずだ。時代・場所の生き方を追体験できる読書は、様々な生き方の可能性を示してくれる。
■まずは「成功本」を捨てよ
「成功」という言葉がついているタイトルの本が書店に溢れているが、何をもって「成功」というのだろうか。仕事とは、金儲けをするためだけにするものではないし、人生の目的も金儲けではない。すでに誰かがやっているのと同じビジネスで多額の金を稼いだところで、それほど意味がない。
成功とはイノベーション、つまり革新性のある事を実現できた時にはじめて成り立つものだ。他の人が思いつかないようなビジネスをして、他の人がマネできない生き方をしてこそ、自分の人生を生きているのではないか。お金とは、その副産物としてついてくるものである。
まずは、家にある成功うんぬんといった本を捨てるべきである。人の成功はマネするものではない。自分がマネされる側に回らないと、本当の成功からは程遠い。
■本を読まない人間はサルである
本を読む・読まないという行為は、その人の品格に関わってくるのではないか。本を読んでいる人間が車の中に幼児を置いたままパチンコに興じるとは思えないし、電車の中で平気で化粧をするとも考えづらい。なぜなら、本を読むには想像力が必要だからだ。想像力が欠如している人間には、到底味わう事ができない媒体なのである。
本を読んでいない人間の話題は、スポーツの話、テレビの話、飲み屋の話、女性の話、金儲けの話が中心である。対して、本をよく読む人というのは、地位や収入にかかわらずどこか品性があり、含蓄のある話をするので、一緒にいても面白い。どんなに偉い人でも、本と読まない人間は尊敬する必要はない。サルに近いんじゃないかと思えばいいだろう。
■読書に目的を持つな
「目的意識を持って本を読め」というセリフをよく聞く。しかし、受験勉強や資格をとるために本を読むのならともかく、仕事に役立てるためとか、教養を身に付けるためというような浅ましい考えで本を読む限り、仕事もできるようにならないし教養も身に付かない。
それは、自分で設定した目的に縛られてしまうからだ。読書は仕事に役立てるためにするもの、と決め込んでしまえば、仕事に関係する本しか読めなくなってしまう。仕事の幅を広げるのは、一見仕事に役立たなそうな関係のない本だ。何も自分の可能性を限定してしまう事はないだろう。
著者 成毛眞
1955年生まれ。インスパイア創業者・取締役 元マイクロソフト日本法人社長、現在は株式会社インスパイアでコンサルティングやベンチャー企業への投資などを行っている。 また、スルガ銀行株式会社、株式会社スクウェア・エニックスの社外取締役や、様々なベンチャー企業の取締役・顧問などを兼職。早稲田大学客員教授も務める。
404 Blog Not Found 小飼 弾 |
BRUTUS (ブルータス) 2015年 1/15号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 3分 | |
1章 仕事も生活も劇的に変わる!「速読」かつ「多読」の読書術 | p.11 | 14分 | |
2章 一生を楽しみつくす読書術 人生は、読書でもっともっと面白くなる! | p.39 | 17分 | |
3章 「人生を楽しむ力」と「読書量」 忙しい人ほど本を読んでいる! | p.73 | 15分 | |
4章 まずは「同時に3冊」から!実践!「超並列」読書術 | p.103 | 23分 | |
5章 「理屈抜きで楽しめる」読書案内 私はこんな本を読んできた! | p.147 | 17分 | |
おわりに | p.180 | 1分 |
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