チャネル戦略に影響を与える力
チャネル・スチュワードになるためには、まずチャネルに影響を与える4つの力を理解する事が必要である。そして、これらを活用し、チャネル戦略の構築に生かすべきである。
①ディマンドチェーンの要望(顧客からの要望)
②チャネルの能力とコスト(情報の提供、在庫保有、品揃え、サービスなど)
③チャネルパワー(製品・技術及び市場アクセスに由来する参加者間のパワー配分)
④競合の活動
チャネル・スチュワードシップの3原則
チャネル・スチュワードシップとは、ディマンドチェーンをできるだけ細密に反映した「チャネルのバリューチェーン(CVC)」を作り上げる事にある。つまり、顧客視点からのサプライチェーンを築く事にある。
チャネル戦略を組み立てるにあたっては、次の3原則を用いる事が重要である。
①業界チャネルをマッピングする
チャネルに影響を与える「4つの力」の理解は、「マッピング」分析を行う事によって得られる。4つの力は相互に作用しあい、影響を与えあっている。同時に業界の置かれた環境(テクノロジー、取引慣習、法規制、トレンド、購買行動)にも、影響を受けている。マッピングを通じて、これら重要な要素を洗い出す事ができる。
②チャネル・バリューチェーン(CVC)を構築し、改定する
顧客のニーズと、チャネルが提供できるものとの間のバランスを取る。そのためには、チャネルの能力を活性化し、改定し、ディマンドチェーンの要望にマッチさせる必要がある。
構築と改定にあたっては、次の大原則を心に刻んでおく必要がある。
1.価値の創造は、顧客から始まる
2.主要競合の提供するものと、自社が提供するものを、ベンチマークする
3.チャネル能力とディマンドチェーンは、相互に影響を与え合う
顧客の要望や競合の能力に対する外部要因の影響は常に変化するため、CVCの改定作業は、動的なプロセスであるべきである。
③チャネル・バリューチェーン(CVC)を方向づけ、影響を与える
チャネル・パートナーをリードし、チャネルが顧客ニーズに合致するよう、彼らの行動を変えさせる。そして、顧客が価値を受け取り、チャネル・パートナーが適正な利益を上げられるようにする。特に複数の中間業者が存在する場合には必須のものである。
スチュワードシップにおける絶対条件の一つは、CVCがどのように顧客需要に対応しているかを、全てのパートナーが理解しているようにする事である。顧客に焦点を当て、透明性を確保する努力こそが困難な決断を、単なるパワー行使と誤解されないようにする方法である。価値の創造や、パイの拡大を目的とせず、単に、チャネル利益の自社分配率の向上だけを考えてパワー行使したとすれば、ゼロサムゲームに陥る。