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2013/04/16更新

モノの流れをつくる人-大野耐一さんが伝えたかったトップ・管理者の役割- (B&Tブックス)

148分

2P

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現場の見方の基本「モノの4つの状態」

製造現場にある素材、仕掛品、手直し品、製品など全部をまとめて「モノ」と称する。モノはそれぞれの状態に合わせて4つに区分される。

①停滞(何もされていない状態)
シフト差分、客先稼働日との差分、年休用、不良手直し品、定期修理用、運搬待ちの余分な完成品、収容数の多いパレットなど

②検査(加工されたモノの規格の良否を確認されている状態)
工程内の検査品、測定室に持ち込んでの検査品

③運搬(運ばれている状態)
コンベア上を運ばれている状態、工程間・ライン間を運ばれている状態

④加工(モノの形が変わること)
設備で切削されたり、部品を溶接、組み付けられたりされている状態

この4つの状態の内、「加工」はモノの形が変わるため、付加価値が上がる。そして「モノ」は最終工程に近付いていく。一方で、停滞・検査・運搬は、形が変わらず付加価値は上がらない。それだけでなく、工数をかければかけるほど製造原価は上がる。大切なのは、工程の実力を上げて、「停滞・検査・運搬」を減らして「加工」の比率を上げる事である。これを「流れ化」と呼ぶ。「流れ化」こそがトヨタ生産方式の肝で、生産工場の活動の最重点項目である。

「停滞・検査・運搬」を削減するには、以下のような方法がある。

①停滞
停滞理由と期限と管理責任者名を書かせる、完成品収容数を減らす、かんばん単位の後工程引き取り、段取り取り替え短縮

②検査
工程内検査で品質保証、部品別工程別専用検査工具の使用

③運搬
工程間を近づける、定量運搬、かんばん単位の後工程引き取り

資金はモノに変わって寝るだけでなく、モノそのものは「停滞・検査・運搬」で付加価値のない仕事に多くの労務費を費やす。

モノの流れ化を推進する

「トヨタ生産方式」で運営されている製造現場の管理者は、「モノの流れ化」を推進する環境を部下のために作らねばならない。「流れ化」は、まず次のような順序で進める。

①工程間が離れているのをつなぎ、一個流しにする
②さらにつなぐ機械台数を増やし、完成品まで一個流しにする
③先入先出の完成品置き場をつくり、一日の必要数ができたら加工を止める
④他の部品ラインにも順次展開していく

流れ化ができると、次に設備故障によるライン停止の課題が出てくる。この段階では、設備の保全体制をつくっていく環境づくり(在庫確保など)を行う。トヨタ生産方式は、従来のロット生産に比べるとモノの流れが数倍速く、設備故障に対する処置のスピードが一番大事となる。

大野耐一さんの生産性目標達成の理念は、「利は流れ化の余剰なり」。モノの流れを追求していけば、必ずや利益は出てくるに決まっている。