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2013/03/25更新

じたばたしても始まらない 人生51勝49敗の成功理論

136分

5P

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溶鉱炉を燃やし続けろ

ジャニーズ事務所にも「冬の時代」があった事は意外と知られていない。郷ひろみがバーニングプロダクションに移籍してからしばらくは低迷が続いた。現在のジャニーズ事務所の栄華は、苦しかった時代に、プロダクションには何が必要か、徹底的に分析し、考え抜いた成果だと思う。

それはファンクラブを大切にする事だ。メリー喜多川さんは常々、「ファンクラブは溶鉱炉」と語っていた。溶鉱炉の火さえ灯し続けていれば、そこに燃料を入れればまた燃えさかる。燃料はスター、溶鉱炉はファンクラブ。だから、ジャニーズ事務所では、ファンクラブを管理担当している女性が一番えらい。当時は、メリーさんが管理していた。

販売促進、宣伝の仕事と並んで、CBS・ソニー時代に取り組んだのは、新人開発だ。10周年記念事業として、SD(サウンド・ディベロップメント)を始めた。新人をそのままデビューさせても売れる事はまずない。仕掛けが必要だ。例えば、ラジオでレギュラー番組を持たせる。こういった場合、番組の制作費用はレコード会社の持ち出しだ。オーディション開催から売り出しまで、SD関連の予算は4、5億円かかる。それを社は容認してくれた。

「これもまた一つの溶鉱炉だ」と確信していた。売上が落ちても、溶鉱炉さえ燃え続けていれば、また盛り返せる。その結果、HOUND DOGやレベッカ、尾崎豊、松田聖子、渡辺美里など多くの人材を送り出す事ができた。

ヒットは情熱からしか生まれない

CBS・ソニー時代に一度だけ辞意を表明した事がある。映画製作に初めて乗り出した時だ。当時人気の高かったシブがき隊を主演にすえた映画「バロー・ギャングBC」を単独で製作した。シブがき隊には直前の映画で実績があり、所属する洋楽アーティストの楽曲を使い、オールソニーで盛り上げれば、ヒット間違いなしと踏んでいた。

ところが、洋楽ファンは、シブがき隊の映画だという時点でそっぽを向き、肝心のシブがき隊のファンからも支持は得られなかった。当てにしていた双方から無視され、客足は全く伸びなかった。この失敗で悟ったのは「分析からレコードや映画を作るのは危険だ」という事だ。本当のプロデュースというのは「俺に任せてくれ」と死ぬぐらいの覚悟を持ってやらないとだめだ。

「シブがき隊がすでに出演していた映画が15億円ぐらい稼いだのだから、今度はこれぐらいいくだろう」と分析をして、リスクをどんどん消去していけば、成功するはずだと思っていた。分析だけで成功するはずだと確信した時、人は必ず失敗する。

そして、その時に思ったのは、一発必中というのはないということ。何発か重ねて売っていくという費用と時間を用意していかないといけない。あわよくば、というのはあり得ない。