今読むべき優良ビジネス書が
すぐ見つかり、読んだ本を
しっかり自分の知識にするサイト

本を検索する

カテゴリーから探す

人気のタグ

お知らせ


Android無料アプリ配信中
2013/03/25更新

じたばたしても始まらない 人生51勝49敗の成功理論

136分

5P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

アマゾン詳細ページへ

日本で一番レコードをセールスした男の人生哲学

CBS・ソニーレコード、ワーナーミュージック、エイベックスと音楽業界に50年以上かかわり、数々のアーティストを輩出してきた著者が、人生と仕事を振り返る。
多くの大物アーティストとのエピソードを描きながら、最後に到達した人生訓を語っています。


■弱点を意識せよ
あるがままの性格はたいした事がない。社会に出たら、性格を作り直すぐらいの覚悟がないと人生はうまく回らない。今の時代、「何でもいいから、長所を伸ばせ、弱点には目をつぶれ」と言われる。確かに、弱点は長所にならないが、だからこそ、弱点を意識する事が大事だ。長所はほっといても伸びる。弱点は、意識的に改善に取り組まないと直らない。

音楽の世界でも、ここ20年ぐらいのキーワードは「等身大」だった。あるがままの自分を見せて、長所も弱点もある自分を受け入れてもらう。しかし、日本人のアーティストだけでやっている内は良かったが、2000年代に入って、K・ポップのアーティストが日本に参入してくると事情は変わった。彼らは、歌やダンスはもちろん、ファンへの接し方、メディアへの対応の仕方も厳しく鍛えられている。これからは、「等身大」を唱えるアーティストよりも、トレーニングをきっちり受けて、完成度の高い芸を見せられるアーティストが、国籍を問わず人気を集めるだろう。それは、一般の社会でも同じだ。

超短要約

■音楽賞の地盤沈下
日本レコード大賞に象徴される音楽賞を獲得する競い合いを「賞レース」と呼ぶ。私達は「賞レース」に業務として力を入れた。その理由は、受賞すると売上に反映するからだ。結果的に宣伝費の軽減につながった。同時に社の信用も上がって、有望な新人を獲得しやすくなる。

頻繁に利用したのは、CBS・ソニーの高いイメージ。「CBS・ソニーの10周年なので、よろしくお願いします」などと審査員に訴える。かつての賞レースでは時には審査員にもお金が動いたようだ。「あいつは金で転ぶ」と見られれば、そこに向かって動く。

審査員に煮え湯を飲まされた事もあった。1972年の日本レコード大賞の最優秀新人賞では、所属する郷ひろみが選ばれると確信していた。我々は、総勢約35人の審査員への根回しをばっちり済ませ、過半数を超える審査員から郷への投票の感触を得て、受賞を信じて疑わなかった。ところが名前を呼ばれたのは麻丘めぐみだった。郷が得た得票はわずか2票。ジャニーズ事務所からは、賞レースに関しては「レコード会社ですべてやってくれ」と言われていたので、面目は丸つぶれだった。

さらにショックな事に審査員の5、6人から「稲垣さん、だめじゃないか、しっかりしないと。郷に入れたのに、郷が敗れて恥をかいちゃったよ」と言われたのだ。得票数は2票だから、残りの数人は嘘をついている。人間は怖いと思った。この教訓を得て、本気でやらなければと人間関係を構築し直して、賞獲り作業の最終段階では、投票の意志の確認をきっちり行うようにした。

■人生は51勝49敗でいい
レコード会社でヒット曲を出す、歌手を人気者にする、という行為は釣りと似ていた。釣りには、釣り道具とえさ、そして釣りの技術も必要だが、それだけでは十分でない。川や海に魚がいないと話にならない。そして、魚がえさに食いつきたいと思っている事が重要だ。天気に注意し、潮の流れを読む事も必要である。

要はヒット曲を作るためには状況を見極める、仕掛けを施す、人と人をつなぐといった事が必要だ。ただ、そうはなかなかうまくいかない。うまくいかない原因の一つは、準備不足。そして、もう一つが運、不運。実際のところ、なぜヒットしたか分からないのが素直な気持ちだ。

だから、51勝49敗でいい。最終的に2つ勝ち越せば、よしとする。すべて勝てる道理はない。果敢に攻めていくのも大事だが、我慢するのも大事だ。釣りでも、魚に食い気のない時はじっと待つ。但し、いくら糸をたらしても食いつかない事もある。そこはきちんと見極めないといけない。

一つのプロジェクトには、準備に1年、本番に1年、反省に1年が必要だ。それを繰り返して、スパイラル的に上に上がっていかねばならない。重要なのは検証である。そして最後は天に任せるしかない。

著者 稲垣 博司

1941年生まれ。エイベックス・エンタテインメント顧問 1964年大学卒業後、渡辺プロダクションに入社。1970年にCBS・ソニーレコード(現・ソニー・ミュージックエンタテインメント)へ移り、松田聖子、尾崎豊らを見出す。1992年、同社代表取締役副社長、1996年、SMEアクセル代表取締役社長。 1998年にソニー・ミュージックエンタテインメントを退社し、ワーナーミュージック・ジャパン代表取締役会長に。2004年にエイベックス(現・エイベックス・グループ・ホールディングス)に入社。その後、エイベックス・エンタテインメント代表取締役会長を経て、同社顧問。 50年にわたり日本の音楽業界をリードし、日本で一番レコードをセールスした男と呼ばれる。

この本を推薦しているメディア・人物

帯
元三井物産副社長 渡邊 五郎
帯2 帯2
エイベックス・グループHD代表取締役 松浦 勝人
日本経済新聞 日本経済新聞

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
プロローグ p.9 2分
1 渡辺プロダクション時代 p.13 14分
2 CBS・ソニー時代 p.39 49分
3 ワーナーミュージック・ジャパン時代 p.129 9分
4 エイベックスへ p.145 6分
5 音楽業界に向けて今思うこと p.157 12分
6 これから次代を担う人たちに向けて p.179 10分
エピローグ p.198 2分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

選択の科学 選択の科学
[Amazonへ]
2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する 2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する
[Amazonへ]

ユーザーのしおりメモ (0)