価値が転じてお金になる
もし、価値をお金に換えるなら、何よりもまずは「好き」を追求しよう。やりたい事が見つからないなら、やるべき事をやろう。「やるべき事」とは、「貢献につながる事」だ。それが仕事でなくてもいい。最初はお金が入らなくてもいい。貢献は信用を生み、それが未来の自立と社会的評価につながる。その積み上げの果てに、使命を授かる時がくる。
人はみな、価値を産み出す源泉を内に秘めている。仕事とは、その才能をお金に変換する作業に過ぎない。使命が転じて価値となる。価値が転じてお金になる。もっとも効果的・効率的な「お金を稼ぐ」方法は、使命に従う事なのだ。
一つの物事が結実して目に見える価値になるには、才能と、長い歳月の努力とコミットメントの結果である。だから、目に見える結果だけを評価してはならない。それが生まれ出る原因に、目を向けなければならない。
使命は探すものではなく、自然に授かるもの。私心・私欲を濾過して、自分を透明な存在に徹底していく事である。
価値と信用があってお金になる
楽天の三木谷浩史氏、ライフネット生命の岩瀬大輔氏など、ハーバードビジネススクール出身者が成功するのには、その経歴による「信用」が大きく影響している。物事の背景にある有形・無形の「信用」をクリアに意識しなければならない。信用を築くために、学校や会社を含め一流の組織に帰属する事はやはり有効な戦略である。
先日、こんなニュースを見た。ある高名なバイオリニストが地下鉄構内で1日中バイオリンを弾いていたが、その稼ぎは、他に多数いる地下鉄のバイオリン弾きに全く追いつかなかったという。価値の高い演奏をする事は間違いないだろうが、それ以上に、彼が高名である事を観客が知っている状態でなければ、集客につながらないのである。
信用をつくり出すことが大切
お金とは価値の結果であると共に、信用を数値化したものである。僕たちが管理すべきものは、信用総量であってお金の額ではない。ソーシャル・ネットワークは、個人間の紐帯を明らかにし、組織化し続ける。早晩、ウェブは我々の「履歴書」となり、個人の「信用」の源泉となるだろう。
これまでは、国家の信用をもとに発行されているお金だけを人は見ていた。だが、企業や個人が信用を持ち、独自の通貨を発行する可能性が出てくると、お金という結果よりも、信用という原因の方に人々の目が向くようになる。
信用は長い期間を経て、積み立てられていく。信用をつくるには、専門性を高め、約束を守り、親しい関係をつくること、そして何よりもエゴを減じていく事である。
これからは個人間の紐帯がより明確になり、それをもとに経済活動が行われる。その土台となる信用をつくる事、相互扶助のコミュニティをつくる事こそが、もっとも効果的な投資である。