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2013/03/24更新

人の心を手玉にとる技術 ――現役コロンビア大学院生・メンタリスト・魔術師の門外不出トリック――

349分

4P

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人間の脳は騙されやすい

人の目の前に直接現れるものや出来事は、注意がどこか他に向いていると気づかれない事が多い。気を散らすと視覚がどういう訳か機能しなくなる。しかも影響を受けるのは視覚だけでなく、可聴雑音も聞こえなくなる。簡単な言葉もちんぷんかんぷんになり、触感でさえ注意が散漫になると感じられなくなる。

ミスディレクション(誤誘導)とは、画像を隠し、目に見えなくする事である。与えられた視覚刺激は脳が処理しなければ、存在しないと同じである。この効果は、目の錯覚ではなく、認知の錯覚による。

マジシャンは、人の注意をコントロールするため、ミスディレクションを用いる。手技の速さではなくミスディレクションこそ、ほとんどの手品のトリックの鍵を握る。

人間はそもそも自分の気にしない事は覚えていない。だからこそ、自分の観察力をついつい過大評価する事が多い。自分が気づいていると思っている事と、実際に気づいている事にはズレがある。その原因は、人間には頭にすぐに浮かんだものに基づき判断を下す傾向があるからだ。人は何かに気が付かなかった例についてはとりたてて覚えていない場合が多いのである。

人は占いを信じたがっている

心理学者フォーラーは性格診断の実験を行い、被験者が進んで提供した個人情報が多ければ多いほど、自分の診断結果の正確性を高く評価する傾向にあるという結論を得た。つまり、星占いがどれほど正確に見えるかは、占星術師が何を語るかではなく、自分が占星術師に何を語るかで決まる。

但し、占いの内容が一切関係しない訳ではない。一つに、全くの的外れにならないよう、ある程度は一般的な内容でなければならない。さらに大げさなお世辞や手厳しい苦言よりも、そこそこの褒め言葉の方が説得力を持つ。さらに、成功する占いは、驚くほど解釈に深みがある。だが、つまるところ占いが当たるのは、占ってもらった人がその説明を信じたいと心のどこかで思っているからだ。

占星術や手相占いなどで「誰にでも当てはまる平凡な性格描写」を人々が、自分だけに当てはまるものとして歓迎する現象を「バーナム効果」と呼ぶ。バーナム効果を用いて、巧みな芝居とともに、霊能力があるように見せかける事は、コールド・リーディングと呼ばれている。

理想的なコールドリーダーは心の知能指数が高く、観察力が鋭く、人の心理をがっちり把握し、演技の才があり、そして相手の反応をこっそり読み取る能力を備えている。彼らは、人の心を読み、未来を予言し、死者と交信できるように自分を見せかける事ができる。

その後のフォーラーの実験によれば、そっくり同じ性格診断について正確だと認知される度合いは、その内容が占星術や手相占いなど神秘的な出所に由来すると伝えると一気に上がったとわかった。人間とは信じたがるものなのだ。