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2013/03/26更新

セブン‐イレブンのおにぎりは、なぜ、1日400万個売れるのか: また買いたくなるビジネスの“極意”がここにある!

154分

2P

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市場を育てる

セブン・イレブンは、おにぎりの商品化について研究を始め、1978年に発売に踏み切った。売れるのは1店で1日1、2個ぐらい。当時の日本では、欧米の生活スタイルが憧れの対象であり、古い食文化のイメージが色濃いおにぎりは売れなかった。さらにあまり美味しくなかった。現在のようにメイン商品にまでなったのは、セブン・イレブンが絶え間なく、おにぎりの味の改善、改革に取り組んできたからである。味にとどまらず、見栄え、食べやすさ、品揃え、価格、地域のニーズへの対応にも取り組んできた。

おにぎりの導入を決めたのは、当時の鈴木敏文社長である。「確かに市場ではパンの売上が伸び、米の使用量が減ってきていました。しかし、それ以上に重視したのは、米のマーケットの裾野の広さです。誰もがご飯を食べている以上、本当に美味しいものを作れば必ず売れる」

その市場が小さいのは、単に必要がないからとも考えられるが、それ以上に、必要ないからと育ててこなかったからに違いないと考えていた。

ゼロから仕組みをつくる

当初、セブン・イレブンのおにぎりが美味しくなかったのは、その仕組みをゼロから作り上げなくてはならなかったからである。そのため、おにぎりを供給してくれるベンダーを探す事が第一だった。最初は、地域ごとにバラバラに作っていたために、同じおにぎりでも味がバラついていた。当初は手作りで、生産コスト、原材料費、物流コストも高止まりしていた。しかし、鈴木社長は「こうあるべき」という現実を描き、妥協を一切しなかった。

セブン・イレブンは、ベンダーを開拓し、様々な施策を展開していった。おにぎりを中心に、全カテゴリー、定時発注、定時配送、定時納品を実現するためのシステムづくりを進めていった。一日3便制の納品システムも作り上げた。

セブン・イレブンの店は、1店舗につき、必ず2社の工場からおにぎりを仕入れる事になっている。ベンダー同士でお互いの工場を視察し、セブン・イレブンにも品質管理の専門部門を置いて、ベンダーを育成した。

セブン・イレブンは、より手作りの味に近づけるために、オリジナルの機械・設備を入れ、さらにそれを根本からつくり変えてきた。工場、配送車両、陳列は、すべてにわたって20℃に設定。ドミナント方式によって、約200店につき、おにぎり専用工場を1つ設け、鮮度の高いものを納品する仕組みを築いた。

他の商品に比べ、極めてシンプルなおにぎりが、1日400万個も売れるのは、セブン・イレブンがおにぎりを「商品」として扱う事に先鞭をつけたパイオニアだからであり、他のコンビニ・チェーンにはない強みがたくさんあるからなのである。