原価だけで価格を決めない
商品やサービスを提供するための原価を出せば、設定できる最低価格はわかるが、それが適正価格という訳ではない。というのも、適正価格は販売量によって変化する。
単に原価にマージンをのせれば、顧客に誤ったメッセージを送ってしまう事態になりかねない。原材料費だけで商品の価値を決めると、顧客は原材料を組み合わせる手間が省ける以外には、商品を購入する理由がないと感じてしまう。
価格でも差別化を図る
どんな市場も顧客は多様である。最大利潤を探求し、購入客を確実に増やすには、多様な価格帯の商品をつくり、高額予算の顧客の支払金額を増やさなければならない。高額予算の顧客の支払額を増やすには、商品を差別化し、そのような顧客が魅力を感じる高額品を提供すればよい。
商品の差別化策を考えるには、インタビュー手法を使って、商品が顧客に提供している価値を探り、それらに差をつけた商品ラインナップを揃える。
価格設定をリフレーミングする
いったん価格を決めると、値上げは難しい。同じ商品の価格が昨日より値上がりしていれば、顧客が商品を購入しない明確な理由になる。何かを判断する理由の重要性は、簡単に順位付けできないが、賛否の理由となる「数」の比較はたやすい。
有効な対策は、商品に修正を加え、単純に価格の新旧比較ができないようにする事である。具体的には、サイズの変更や製品機能の追加が一般的である。他にも通常価格を値上げしながら、期間限定の割引を実施する。そうすれば価格が頻繁に変わるので、顧客の記憶に残りにくくなる。
価格比較の心理を操作する
アンカリング(第一印象の効果を利用した価格戦略)は極めて効果的である。最初に高い価格を見せれば、相手の商品に対する想定価値は高くなる。その後、低価格の商品を見ると、その商品を購入する確率が上がる。
アンカリングは、特定の商品の売上アップに効果的だが、顧客の全体的な価格認識にも影響を与える。もし高価格のアンカリングを行えば、手頃な価格のお値打ち商品の店というイメージは期待できない。
おとり戦略をつかう
2種類の商品AとBについて、一方が価格、他方が品質というように別の点で優位性がある時、Bより間違いなく劣っている第3の商品Cを見せると、顧客はAよりBを選ぶ確率が高くなる。商品Cを投入する一番簡単な方法は、価格を高く設定する事である。
ワインなどのように2種類の商品の特徴や品質が数字であらわせず、消費者が比較しにくい場合は、価格そのものをおとりにすればよい。人は参考になる情報が少なければ、安い方を選ぶのが一般的傾向である。ところが選択肢が3種類あると、本質的な価値に関係なく中間の選択肢に強く惹き付けられる。失敗する確率が低くなると思って、無難な選択をするのである。