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2013/04/13更新

「つながり」の進化生物学

224分

2P

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言葉は、いつ生まれたのか

我々の直接の祖先であるホモ・サピエンスがでてきたのは、15万年前のアフリカが起源だと考えられている。世界には約6千の言語があるといわれるが、ほとんどの言語が他の言語に翻訳可能である。という事は、人間が使っている言葉は基本的に1種類であとは全部方言だと考えてもいい。そう考えると、我々の言葉は、人類がアフリカで生まれて、そこから分散していく前に既にあったと考えた方がいい。人類がアフリカから出たのは、12万年前くらいだとされ、その頃に言葉が生まれたのではないかと考えられる。

呼吸の制御が言葉をつくった

学習して学ぶ事が人間の言葉の特徴である。多くの動物は、生れつき発する鳴き声が決まっていて、新しい声を出す事はできない。聞いた音を、真似して言い返せる、発声できる事を「発声学習」という。人間以外で発声学習するのは、イルカや鯨、鳥など。霊長類で発声学習するのは、人間だけである。

発声には呼吸を制御する事が大事である。私達はしゃべる時、必ずためた空気を吐きながらしゃべる。息を吐く時に、空気の通り道にある声帯を振動させて音をつくり、振動で出てきた音を、口の開け方によって変形させ、いろんな音を出している。

鯨はほ乳類が海に適応したので、呼吸の制御が巧みになった。鳥も空を飛ぶから、全般的に呼吸の制御が得意だという事が発声学習できる理由の一つであると考えられる。

では、なぜ霊長類では人間だけが発声学習できるのか。その理由は、赤ちゃんが親を制御するために、大声で、いろんな泣き方で泣く事で、呼吸を自由にコントロールできるようになったのではないか。私達には毛がないから、赤ちゃんは母親につかまれなくなった。そこで赤ちゃんは、かまってもらうために泣く。猿の赤ちゃんは、外敵に襲われないように、ほとんど鳴かない。

はじまりは「歌」だった

言葉のはじまりにとって「音の流れを切り分けること」「文脈を切り分けること」「シンボルと意味との対応が双方向的であること」が大切であった。切り分けられた音の流れは、意味を持っていないが、切り分けられた文脈は意味を持つ。これらの2つ、音の流れと文脈が、双方向的に結びつけば、言葉ができるのではないか。

その結びつきは歌から生じたのではないか。言葉は人間しか持っていないが、きっと人間以外の動物も持っている何かからできているはずである。それは歌しかない。歌詞のないメロディーだけの狩りの歌と、食事の歌。「みんなで◯◯しよう!」という同じ状況時に歌われる一部分が相互に切り取られ、浮かび上がり、意味を持つようになった。

そして、歌は動物の情動の状態に応じてなされた発声が組み合わさり、できていった。