コラボレーションの3大要素
組織のコラボレーション能力を進化させるには、3つの構成要素を醸成し、調和させる必要がある。
①カルチャー
コラボレーションに長けた組織のカルチャーには共通の特徴がある。
・社員は互いに信頼し合い、情報を共有し、必要事項にベストな取り組みをする
・社員同士のコミュニケーションが頻繁かつオープン
・社員は組織の各部門が持つ専門知識をどう活用すれば良いか知っている
・社外の人材とも積極的に連携しようとする
コラボレーションの推進によって、社内で競争するカルチャーからゴールを共有するカルチャーへと移行させる。
②プロセス
コラボレーションを促進して成果を上げるためには、マネジメントモデルと人事制度を一新する。共通言語などのプロセスを導入し、人々が連携してより良く仕事ができるようにする。
③テクノロジー
コラボレーションテクノロジーには、モバイル、ソーシャル、ビジュアル、バーチャルという4大トレンドがある。ビジネスの目標を達成するための最適なポートフォリオを作成する。
リーダーに求められるもの
コラボレーションを実践するカルチャーを確立するためには、経営者やリーダーが行動規範となる事が重要である。リーダーは次の行動特性を身に付ける必要がある。
①リーダーシップを発揮し、他人を攻撃しない
②透明性の高い意思決定を常に心掛ける
③様々な資源を行動を起こすためのツールと見なす
④決定権と責任、報賞との関係を明確にする
共通言語を確立することで全員を巻き込む
意思決定にかかわる「共通言語」を確立すると、チームはゴールをはっきり理解して実現のための活動に取り組む事ができる。共通言語の確立はコラボレーションを実践するカルチャーを機能させ、チームの適応性と俊敏性を向上させるための重要なプロセスである。
・共通言語の例:シスコは全社的に次の4点を定義している
①ビジョン:成功するためにチームで共有した見解を明文化したもの
②戦略:ビジョン達成のための経営資源を投じる領域とその方法に関する決定事項
③実行:戦略の各事項を実現するために不可欠な活動計画
④測定基準:成果を評価する指標
信頼と責任があるチームを作る
信頼関係こそがコラボレーション成功の要である。信頼関係を構築するためには、チームの目的、役割、ゴール、業務範囲を具体的な表現で「チームチャーター」としてまとめる。記述にあたっては、コラボレーションの「基本ルール」と個々メンバーの「役割と責任」も確定させる。
共通言語とチームチャーターの違いは、前者はチームがどこに向かうのかを示すものである一方、後者はチームが正しく運営される事を保証し、ゴールに到達するための基本ルールを提供するものである。