シスコシステムズのバイスプレジデントが、市場の変化に対して柔軟に適応できる組織をつくるための方法を解説している。どのように組織のカルチャーを変えるか、信頼関係を築くためのコミュニケーションはどうすれば良いのか、効率的な会議の運営など、組織改革のためのヒントが書かれている。大企業の経営者向き。
■コラボレーション、それが重要だ
新たなビジネス環境において成功を収めるために重要なのは、業務に柔軟性を持たせ、市場の変化に合わせて戦略を調整するスピードを引き上げる事である。つまり、適応力の強化が急務である。急激な市場の変化に適応できる組織を構築するための最も効果的な手段が「コラボレーション」である。それは将来のイノベーションにつながる。
コラボレーションでは様々な経験や価値観を重視する。そのためには多様な人材を活用する。今後のコラボレーションのあり方は、より広範囲で短期間になっていくだろう。部門横断型チーム、顧客、ビジネスパートナー、競合相手までを含んだメンバーで構成される。各分野のエキスパートが小回りの利くチームを即座に組んで作業を進め、終了すると解散、次の機会に向かうようになる。
コラボレーションを進める。これこそが社員の能力を最大限に引き出し、組織を素早く動かして成功を勝ち取るために、経営者がとるべき最も効果的な手段である。
円滑なコラボレーションができる組織にするためには、カルチャー(組織文化)、プロセス(人と人のやりとり)、テクノロジー(情報技術)を変革しなければならない。
これら3つの領域を変革すれば、活気にあふれた組織を実現でき、変化する市場に即応して優れた成果を上げる事ができる。
コラボレーションにこれから取り組むのであれば直ちに「リーダーシップチーム」を結成して下さい。このチームには組織の様々な部門グループからあらゆるレベルの社員を招集して参加させる。ベテランから若者まで全世代の社員を各地から集め、あらゆる視点を反映できる体制にする。
このチームに「新たな時代のビジネス環境への適応力に優れた企業になる」というゴールを伝えて、全員が組織の生産性向上に集中し個々人の環境を整えていくように仕向けて下さい。
カルチャー、プロセス、テクノロジーのすべてを変えていく包括的アプローチこそがゴールへの道となる。
①カルチャー
ゴールを特定し、組織全体が団結してゴールに邁進するカルチャーを醸成する。ゴールは関係者全員に明確に伝えなければならない。
②プロセス
コラボレーションを進めるという観点から、トレーニング、スキル開発、採用といったプロセスを再検討する。人材など経営資源を巡る社内競争を最小限に抑え、資源を有益に使えるように割当てる。
③テクノロジー
既に導入されているコラボレーションツール群だけで、未来のコラボレーション像を実現できるかを検討する。
コラボレーションの推進にあたって何よりも重要なのは組織のリーダーがコラボレーションを実践する行動の規範となることである。そうすれば、組織全体にコラボレーションが浸透していく。
著者 ロン・リッチ
シスコシステムズ バイスプレジデント エグゼクティブ&カスタマーエンゲージメント お客様との戦略的エンゲージメントを統括し、コミュニケーション拠点として全世界で「カスタマ・ブリーフィング・センター(CBC)」を運営している。
著者 カール・ウィージシスコシステムズ シニアバイスプレジデント グローバルコラボレーション シスコのコラボレーションビジネスのリーダーとして、販売戦略、製品ポートフォリオを含めた事業を統括している。
帯 アクセンチュア社長 程 近智 |
帯2 一橋大学名誉教授 野中 郁次郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第1章 コラボレーション、それが重要だ | p.16 | 18分 | |
第2章 トップこそ最大の推進者 | p.40 | 18分 | |
第3章 コミュニケーションの真髄をつかむ | p.64 | 20分 | |
第4章 共通言語を確立して全員を巻き込む | p.90 | 20分 | |
第5章 「信頼と責任」があるチームを素早く作る | p.116 | 15分 | |
第6章 時間の無駄遣いをやめる | p.136 | 14分 | |
第7章 ツールボックスを開く | p.154 | 23分 | |
第8章 成果を出せる8領域 | p.184 | 15分 | |
第9章 投資対効果の測り方 | p.204 | 15分 | |
第10章 コラボレーションの旅へ出発を | p.224 | 11分 |