国際的日本人を作る条件
「グローバル人材」の育成に最も重要な教育の要素は次の5つである。
①英語力
まもなく戦後70年近く経過しようとしているが、日本の英語教育は全く進歩していない。一方、中国、韓国、台湾からの留学生の英語のレベルは明らかに上昇している。小学校から大学まで、効果的な英語の勉強方法は次の通り。
・小学生には英語で用いられる「音」を学習させる(フォニックス勉強法)
・中学、高校生からTOEFLを受けさせる
・日本の大学入試をTOEFLにする。まずは東大から改革を
②言いたい事を伝える力
国の違う人々とお互いを理解しようとする場合には、実にシンプルなメッセージから伝え始めなければ、やり取りが成立しない。日本人同士で理解しあえる微妙なニュアンスは、間違いなく異なる文化を持つ外国人には伝わらない。まず自分の意見の結論を言う。その後、理由や背景を言う。結論を言う際に、必要に応じて条件を付ける。
文化、言語、宗教が異なる人々と理解し合うには「論理」が最大の武器となる。論理的な思考力を高めるには、まず「論理的でなくなる5つの基本パターン」を示す事で、論理の基礎を体感する。
・接続詞や助詞が適切でないと論理的でなくなる
・理由を十分に説明しないと論理的でなくなる
・単語の意味を間違って理解して使うと論理的でなくなる
・別の理由があるのに、ひとつの理由に断定すると論理的でなくなる
・そもそもの前提事実(理由)が間違っていると論理的でなくなる
論理を学ぶには、論理的な考え方の筋道をフローチャート化して教える機会を増やす事が効果的である。
③日本人としての誇り
世界各国の人は、政治体制や経済状況などに不満は言うが、自分のルーツや祖国に対しては誇りを持っている場合がほとんど。人は、帰属するコミュニティに心の拠り所を求める。日本人が他国と切磋琢磨していく際には、どこかで「日本人である事の誇り」を持っている事が必要になる。
④豊富な知識、教養
いかに英語力があり、自分の言いたい事を伝える力があっても、伝える中身がなければ説得力を持たない。知識、教養を増やす事が、学校教育の一つの重大な任務である。
⑤「変人」になること
国際社会は、日本人から見れば「変人」の集まりである。グローバル人材になるためには、考え方を柔軟にする必要があるため、「自分自身も変人、周りも変人で当たり前」という環境を作る必要がある。自分とは違う感覚を持つ人を尊重し、理解しようとする人こそが、これからのグローバル社会には大切となる。