東大出身の著者が、「東大」をアピールした本にもの申す。変化の激しい時代には、東大生が得意とする「答えが決まっている事に対する解決法」だけでは通用しないと説き、これからの時代に必要な著者独自の持論を説く。
■「東大式」だけでは通用しない
試験型エリートである東大生は、「圧倒的なスピードラーニング能力」に優れる。どんな分野でも、身に付けるべき内容が文書で解説され、「その理解力を試験で判断する」といったケースの場合、東大生のような受験秀才は、次のプロセスで、必要十分な知識と問題解決方法を習得してしまう。
①テストで求められる「最も好ましい解答」は何か
②記述されている内容のうち、何を覚え、何を捨てればよいか
③覚えるべき事項の優先度&覚えやすい順番はどうなっているか
④身に付けるための「覚え方のコツ」はどうするのがよいか
⑤どんな形で出題されるかのシュミレーションが可能か
以上の「最短ルートでの理解方法&習得方法」については、プロ中のプロなのである。しかし「ゴールが明確な課題の解決能力」というのは、ある決まったパターンでの課題解決や、それに必要な知識・ノウハウの習得には、ずば抜けた効力を発揮するかも知れないが、昨今のビジネスの世界では通用しない。
■「東大式」プラスアルファが必要
かつては「欧米」という明確なゴールを追いかけていれば事足りていた。そこでは「単一なマニュアル方式」は大いに役に立った。ところが、現在のビジネス界ではお手本となる欧米とはほぼ横一線になってしまっており、単純に追いつき、追い越せば良かったはずのゴールそのものが見えない。むしろ、自分たちが新たに原野を切り開き、成功モデルを提案していくという進路設計が、日本のビジネスパーソンの課題となっている。
刻々と移り変わる社会においては「東大式」を応用した「点数稼ぎ」や「最適化手法」には限界がある。「東大式」にプラスアルファすべき「思考法」「仕事術」が必要である。
著者 諒 純也
1963年生まれ。大手材料系メーカー 営業部長職 大手材料系メーカーに就職。15年余の技術者生活を送った後、自ら開発した商品とともに営業部に異動。ここ数年はラインの営業部長として、事業部所属の営業グループで実ビジネスの責任者を務める。
週刊 ダイヤモンド 2013年 2/9号 [雑誌] 紀伊國屋書店和書仕入本部係長 水上 紗央里 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 3分 | |
第1章 客観的に見た「東大」という大学の姿とは | p.17 | 11分 | |
第2章 巷にあふれる「東大生が書いた」なる書籍にもの申す | p.37 | 15分 | |
第3章 変化の中で生き抜くための「3D型解析法」 | p.65 | 31分 | |
第4章 生き抜く知恵「HARZZ方式」とは | p.123 | 44分 | |
おわりに | p.205 | 1分 |
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