後継者が経営革新に成功するための7つの法則
①後継者が行う経営革新の原動力は「危機感」と「意地」
後継者が経営革新に取り組もうとする原動力は、厳しい現状あるいは、10年後、20年後の将来を見据えた危機感である。そして、先代から引き継いだ事業を「俺の代で終わらせたくない」という意地が、経営革新に取り組ませる。
後継者に意地を持たせるには、次の3つが大切である。
・幼少期から後継者になるまでの長期間にわたる教育
・継ぐべき会社の存在意義
・両親の生きざま
②世襲後継者だからできる「社長就任前」の経営革新
世襲後継者は、社長就任前からその会社の事業の柱となるような経営革新に取り組んでいる。世襲後継者が入社すれば、周囲は「何年か後には社長になる人だ」と思い、そういう目で見る。だから、世襲後継者は「将来の社長」として経営革新に取り組む事ができる。
③「何をするか」は「市場と商品」で、「できるか」は「経営資源」から考える
「何をするか」は「市場と商品」の事業マトリックスを使って考える。
A(既存×既存):市場浸透
B(新規×既存):新市場開拓
C(既存×新規):新商品開発
D(新規×新規):新事業開発(多角化)
「できるか」は土地、建物、機械、人材、資金、技術、ノウハウ、ブランドなどの経営資源から考える。
④後継者が行う経営革新にはタイミングと順番がある
中小企業の後継者が事業承継後に取り組んだ経営革新は、「新たな顧客開拓」62.3%、「新商品・サービス開発」40.5%、「新たな事業分野への進出」34.5%の順であった。この順番には、新社長と社員との摩擦の回避が背景にある。より高リスクな経営革新は、社長就任後3年以上経ってから行っている。
⑤小さな戦略を描き、その戦略を一つずつ確実にやり遂げる
中小企業の経営革新の進め方は次の通り。
・小さな戦略を立て、それをとにかく成功させるように最大限の努力をする
・その過程でぶつかった困難や障害には、その都度考えて対応する
・まずは最初の「小さな戦略」を成功させる
・成功したら、次の事業アイデアが浮かぶ
・次の事業アイデアを、また確実にやり遂げ、成功させる
・こうした事を繰り返す結果、経営革新が行われる
⑥経営革新は、機動的に修正する事で成功率が高まる
中小企業の新商品の開発や新事業への進出は、綿密な市場調査や顧客ニーズの分析から計画されるといったケースは少なく、経営者のヒラメキで着手される。その軌道修正や撤退の判断をするのも経営者であり、成功率がそこそこ高い。
⑦経営革新を行いうる後継者に必要なもの
経営革新を行いうる後継者には、知識、能力、熱意、人物の4つが必要である。代替がきかない点から、最も大切なのは熱意と人物である。