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中古車の『ガリバー』の経営哲学

中古車流通大手『ガリバー』創業者で70歳になる羽鳥兼市氏は、2011年6月から1年1ヶ月をかけて、ユーラシア大陸をマラソンで横断し、1万3352キロを走破する。フランスのパリを出発し、ヨーロッパ大陸を横断し、トルコを経てアジア大陸へ。中央アジアの国々を横断して、中国そして日本まで。

本書は、そのマラソンの様子を描いたドキュメンタリーである。70歳でユーラシア大陸を横断するという過酷なマラソンを通じて、ガリバーの哲学とも言える「難しいことへの挑戦」の大切さを説く。


■非常識であれ
中古車流通大手のガリバー・インターナショナル創業者、会長の羽鳥兼市氏は、フランスから中国、さらに日本までのユーラシア大陸横断マラソンの計画に着手する。スタート前、羽鳥氏に聞いた。

「なぜこんなバカな事をやるのかと思う人もいるだろうけれども、極めれば凄い事になると感じている。ユーラシア大陸横断を達成すれば、世界で3番目になる。常識にとらわれていると当たり前以下の事しかできない。新しい事に挑戦するには、非常識な発想を抱くくらいでないと駄目なんです。不可能だと思えるような事に挑戦するからこそ人は成長できる。ロマンを感じ、人生を生きる事ができるのです」

超短要約

■ガリバー流経営論
①決めるのがリーダーの仕事
リーダーの最大の仕事は、意思決定である。リーダーが決めなければ、強いチームの体は成さない。意思決定は、まさにアートとサイエンスを組み合わせた賜物である。その時、リーダーが大事にしなければならないのは、どんな心境のプロセスで意思決定したかである。

②プラス思考にする
不利な状況でもプラスに捉えていく。過去や現在起きてしまった事は、自分ではどうしようもない。これらは、受け入れるしかない。落ち込んでいても仕方ない事だ。ポジティブに受け入れるからこそ、積極的に問題にぶつかれるのである。プラス思考には訓練でなれる。何か問題が起きてしまった時、「良かった、良かった」と言ってしまう事だ。良かったと言った後、その言い訳を考えればよい。

③挑戦の理由を問う
大きな挑戦には、大きな代償が伴う事がある。その代償は時に残酷でさえある。こんな状況で、自分のためだけだったら、その残酷なまでの事件を乗り越える事ができるのだろうか。そんな時には、きっと自問自答するだろう。「何のために、これをやろうとしているのか?」と。その時に出る答えが、あなたを動かす全てである。

④頑張るのではなく、無我夢中になる
「がんばる」と言えば、頑張っている気になる。ある意味自分を騙す言葉かもしれない。一度「がんばる」という言葉を使わないでみると良い。例えば「このように行動を変えてみる」とか、「こんな事を止めて、新しくこんな事をやってみる」とか。だから本当は頑張らなくていい。無我夢中になってさえいれば。

⑤諦めない理由を問う
「どうして諦めないのか?」の問いには、「どうして諦めるのか?」と答えるのが面白い。諦める理由は、どんどん出てくる。しかも、論理的で人を説得するには十分である。諦める理由をトラックに乗せたら、きっと乗り切らないほど出てくるだろう。諦める理由を出し尽くしているうちに、ふとある事に気づく。それは、諦めない理由は1つであるという事だ。

著者 羽鳥兼市

1940年生まれ。ガリバーインターナショナル創業者、取締役会長 高校卒業後、父親が経営する羽鳥自動車工業に入社。1966年に義兄と共同で羽鳥総業を設立。1975年に同業者の会社の不渡り事件で、3億円以上の負債を抱えて1976年に倒産。同年東京マイカー販売を設立。 1994年に車の買い取り部門として「ガリバー」1号店を開設、同年10月にガリバーインターナショナルを設立。2008年より会長。

著者 ガリバー・ユーラシア・マラソン・チーム

ガリバーインターナショナルの羽鳥兼市会長、須釜武伸氏、添田進二氏、羽鳥会長の三男である彰人氏や、トレーナー、現地コーディネーターなど、このプロジェクトを支えた数多くの人々がメンバー。

著者 大角理佳

1970年生まれ。フリー編集者・記者 出版社勤務などを経て現職。

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帯
一橋大学教授 楠木 建

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.2 1分
序章 スタート地点で成否の70%は決まっている p.8 7分
第1章 欧州編 波乱のスタートを乗り越えて p.23 26分
第2章 中央アジア編 遠いゴールにめげない心 p.77 31分
第3章 中国・日本編 逆風を抜け突破したゴール p.141 22分
第4章 挑戦を終えて編 日本よもっとチャレンジしよう p.187 8分
あとがきにかえて p.204 2分

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