見ている人の立場に立つ
職人として仕事をすると言っても、視聴者の気持ちで番組作りをする事が大事だと思っている。あるエピソードが披露されてスタジオ内が大爆笑に包まれ、あまりの面白さに、笑いが10秒間も続いたとする。但し、その内最初の3秒が大爆笑で、残り7秒が余韻だった。こういう時、作り手側はついつい残り7秒の部分をカットしてしまう。しかし、「7秒の余韻がカットされる」という事は、「視聴者が、笑い終わって落ち着く時間がカットされる」という事になる。その後に続くトークに集中できず、結果として次の「オチ」が伝わらず笑いが1つ死んでしまう事になる。
現場で生み出された笑いが100点だとして、その点数をできるだけ100点以上にする事が職人としての仕事である。
企画は自分の中にしかない
①トレンドに背を向ける
視聴者を過剰に意識して、トレンドや最新情報をいくら仕入れたところで、自分自身が「面白い」という強い感情を持たない限り、番組で活かす事はできない。気の合うスタッフ達との雑談で「それ、面白いよ」と盛り上がったテーマを深く掘っていく事の方が、「生きた企画」につながる。
②ヒントは分析から生まれる
大好きなもの、心が動いたものに対しては「なんでだろう?」「どうしてそうなるのか?」「なぜこれが面白いのだろう?」と分析を始めてしまうクセがある。発見できた事は頭の中の「分析ノート」に蓄積し、番組を作る時には、それをパラパラとめくるようにして思い出している。
③「逆に」を考える
「あぶら揚げ」をテーマにしただけの1時間のトーク番組。あぶら揚げへの愛を芸人たちが語り尽くす。普通に考えれば「ないな〜」と言って終わる話。でもこういう時いつも「逆にどうなんだろう」と考える事にしている。否定的に考えたら、その時点でアイディアは消えてしまう。あぶら揚げも「逆にアリ」かもしれないとプラスの方向で考えると発想は広がっていく。うどん、おでん、色々なところで使われている。関東と関西で呼び名も違う。味噌汁の具で人気投票したら何位なんだろう?、あれ?「逆に」面白いじゃないかと。
④二番煎じは本質を見失う
二番煎じ、三番煎じでも受け入れられる事が増えている。ヒットしたものには、支持される要因があり、それを真似れば一定の支持を得る可能性がある事は否定できない。しかし、それは安易で、結局は真の面白い番組を作れないので、長い目で見た時には得をしない。
⑤当てにいくものは当たらない
企画を考える際に、「視聴率が取れそうだからやろう」といった思考法はとらない。あくまで最初に考えるのは、自分たちが「面白い」と感じるかどうか。企画を練っていく上で、頭を使うポイントは、その「面白い」と感じたものを、どう伝えるかに対してである。