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基本命題を疑え

住宅建設会社カウフマン&ブロウドが最初に対決する事になったのは、「地下室のない家なんてデトロイトでは誰も買わない」という業界の常識だった。我々はこの常識を無視した。私は業界専門誌で、地下室のない住宅を建てる建築業者が現れ、すでに何軒も売れているという事実を把握していた。

地下室というのは、かつて冬期の暖房用に石炭を貯蔵しておく場所だった。しかしガス暖房の普及に伴い、地下室の存在意義自体が喪失していたのだ。もし地下室が不要なら、競合他社よりも工期を短縮でき、売値も安くできる。常識からの逸脱はこれにとどまらなかった。当時、家の正面は総レンガ張りにするのが普通だった。だがそれより安価な木とレンガを組み合わせたものを使った。会社設立の最初の年、120軒の住宅を売り、170万ドルの収入を得る事になった。

次に我々は業界の基本命題を再検討する事にした。多くの業者はあらかじめ土地を買い貯めておき、住宅と土地をセットで販売するやり方をとっていた。そこで、カウフマン&ブロウドは不動産屋ではない、製造業だと基本命題を変える事にした。1軒の家を建てるのに最低限必要な材料をすべて把握する事でコスト管理をし、さらに住宅が売れた時に入ってくる代金から下請け業者への支払いを賄うため、工期を短くし、マネーフローを黒字にした。

カウフマン&ブロウドは1969年には住宅建築会社として初めてニューヨーク証券取引所に上場した。

徹底した予習と地道な努力こそ最大の武器

大きなプロジェクトに取り組もうとしている時、必ずまず予習から始めるべきだ。毎日、数時間を費やして、現在と過去の事を調べ上げるのだ。他人の成功・失敗の体験から学べ。

1960年代の経済は過熱気味だった。景気が不況に転じたら、どんな住宅建築会社であろうと成功するのは無理だろうと思っていた。私は世界恐慌の際にどんな会社が生き延びたかを調べさせ、保険会社に辿り着いた。

そして、保険業界についての研究を何年も続けた結果、1971年に老舗の保険会社サンライフを買収し、それを退職貯蓄会社サンアメリカに転進させた。定額年金保険を導入し、手数料で収入を得る。徹底的な予習と、必死の努力、多大なリスクをも引き受ける覚悟が巨大な利益を生むビジネスモデルを生み出したのだ。我々は1998年、サンアメリカを180億ドルでAIGに売却した。

この2社が成功したのは、私が非常識な人間だったからに他ならない。非常識だったからこそ、それまで誰も触れる事のなかった前提に対して、根本的な疑問を投げかける事ができたのだ。

「調査し、十分に分析し、そして集中せよ」そうすれば必ず、他人が非常識だと思う事でも貫き通すだけの自信がつき、人が思いもよらないような成功をつかむ事ができる。