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米国の著名な事業家・慈善家エリ・ブロード氏の仕事術

フォーチュン500社に入っている住宅建設会社KBホーム(旧カウフマン&ブロウド)と年金会社サンアメリカの2社を創業し、ビル・ゲイツと並び著名な慈善事業家である著者が、その考え方や仕事術を紹介している。


■常識に頼るな
子供はすぐに「それ、いいじゃないか!」と言う。ところが大人になると人はこの言葉を言わなくなる。現状を受け容れてしまうからだ。だが、無理にでも「それ、いいじゃないか!」と言ってみるべきなのだ。他の人が「答えはもう出ている」と思っている中で、一人この言葉を発する事のできる人間だけが、未知への扉を開く。

大人になると失敗を恐れるようになる。常識に頼るようになる。なぜか。みんながそうしているからだ。みんなと同じ事をしていれば人は安心できる。「いいじゃないか!」という言葉を発した者は、「非常識な洞察」を手に入れる事になる。ビジネスを始める時など大きな決断をする時には、この種の洞察が不可欠である。ビジネスで成功するためには、ほとんどの場合、まずは常識に立ち向かわねばならない。常識と対決しない限り、発明や革新が生まれる事はない。

超短要約

■二番手の強みを生かせ
「一番手の優位」というのは、常に過大評価の産物だ。ネットスケープ、ナップスター、フレンドスター等の事を考えてみればわかるだろう。確かに一番手である事にはいくつかの利点がある。技術上のノウハウ、リソースや人材へのアクセス、早期の市場支配、名前の認知度だ。しかし、これらの利点は、二番手であっても上手くやれば獲得できるものばかりである。

二番手がブランディングや市場シェアにおいて一番手を打ち負かすために利用すべき法則は「市場は進化する」という事である。人々の嗜好や期待は常に移り変わっていく。大切なのは自ら革新を続けていく事であり、何番手であるかは本質ではない。二番手としては、まずは一番手の提供するサービスに満足できていない顧客を見つけるのが先決だ。それが市場への足がかりになる。

二番手は研究開発や試験にコストをかけずに済むため、価格を低く抑える事ができる。一番手の支配下にある市場に参入していく際、低価格は最大の武器となる。

■時間を管理せよ
時間こそは人の持ち物の中で最も価値のあるものだ。多くの人があなたから時間を奪おうとしている。自分の時間を自分でコントロールするために最善の方法は、やらなければならない事を把握する事だ。本当にやらなければならない事というのは、そんなにたくさんあるものではない。それをやらないと生きていけない、仕事にならないといった事以外は入れてはならない。

自分にとって最重要な課題を把握したら、あらゆる事に優先順位をつける。そして、優先順位の低い課題をすべて人に任せてしまう。人に仕事を任せるための秘訣は、自分の優先事項を社員にも共有させる事だ。

■愛されるより尊敬されよ
非常識な人間というのは、人の神経を逆撫でする。その非常識に、どんなに正当な理由があっても、これは変わらない。

他人が自分の事をどう思っているか気にしないでいられる境地に至るのは大変だが、いったん至ってしまえば得るところは非常に大きい。そこでまず「愛される」よりも「尊敬される」方が大切である事を理解しておこう。「愛される」よりも「尊敬される」方が簡単である。

自分を常に高い水準に保ち、人を公正に扱い、その上で成果を上げる。これだけで尊敬は得られる。そして、どれだけ人に嫌われようが軽く見られようが、そんなものは成功しさえすれば簡単に帳消しになる。非常識なほどの集中力で何かを成し遂げた人のまわりには、突如として人が集まってくる。

感情的になり、それが本来の目標達成を妨げてしまうようではダメだ。常識に抗うような事であれば何であっても、必ずまわりの反対や、時には理不尽な非難に遭遇するものだ。だがそこで自分を曲げてはならない。信じる道を貫き通せば、意外なほど早く成功が手に入るものだ。

著者 イーライ ブロウド

1933年生まれ。KBホーム、サンアメリカ創業者 20歳11ヶ月という、当時の全米史上・最速記録で公認会計士の資格を取得。3年後の1957年に住宅建設会社のカウフマン&ブロード(現KBホーム)を創業。住宅建設会社としては米国史上初めて、ニューヨーク証券取引所へ上場。その後、年金会社サンアメリカを買収し、AIJに売却する事に成功。 現代アメリカを代表するビジネスマンとしての顔ばかりでなく、ビル・ゲイツと並ぶ慈善活動家、教育改革家、世界的な美術品収集家・芸術家後援者として知られる 。

この本を推薦しているメディア・人物

帯2 帯2
アメリカ合衆国元大統領 ビル・クリントン
帯
マイクロ・ソフト会長 ビル・ゲイツ

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
1章 「型破り」だからここまでやれた p.15 10分
2章 「こだわり性」を自分の武器に p.27 10分
3章 「快適領域」の外へ目を向けろ p.39 13分
4章 型破りは「予習」で成り立つ p.55 11分
5章 「二番手」のうま味を生かせ p.69 11分
6章 24時間働きつつ、8時間睡眠を確保する方法 p.83 10分
7章 「人材」を発掘し「人財」に育てる法 p.95 13分
8章 「リスク管理」のうまいやり方 p.111 6分
9章 人を動かし「結果を出す」方法 p.119 8分
10章 人・金・事業に「レバレッジをかける」法 p.129 10分
11章 「勝つ」ためのマーケティング法 p.141 13分
12章 私の「型破り」投資必勝法 p.157 8分
13章 人生の舞台を大きくする「交渉術」 p.167 13分
14章 型破り流「論理に強くなる」方法 p.183 8分
15章 私はいつだって「猟犬」だ! p.193 11分
16章 私流の人を「やる気」にさせる法 p.207 10分
17章 最高最速の「競争」論 p.219 11分
18章 愛されるよりは「尊敬」されよ p.233 13分
19章 「還元」することで人は大きくなる p.249 10分
20章 型破りなこの方法が「教育」を変えた! p.261 11分
21章 芸術と芸術家の「非常識」に学ぶ p.275 13分
22章 自信と意欲に満ちた「型破り」人生! p.291 14分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

リスク〈上〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫) リスク〈上〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫)
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