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2013/02/09更新

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦

  • 出雲 充
  • 発刊:2012年12月
  • 総ページ数:240P

192分

5P

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ミドリムシとの出会い

「仙豆なんて夢の食品、現実にある訳ないよなあ」と諦めムードで呟いたところ、鈴木はあっさりとこう言った。「ミドリムシなら仙豆に近いんじゃないですか。植物と動物の間の生き物ですから」

ミドリムシは体内に葉緑素を備えていて、光合成を行い、植物性の栄養素を作り出すと同時に動物性の栄養素も作る事ができる。さらに驚く事にミドリムシ、学術名「ユーグレナ」を大量に培養して、栄養素豊富な食料として利用する研究は10年以上前から日本に存在していたのである。論文には、ミドリムシを精製して、燃料としても利用できる事、さらには二酸化炭素を吸収させて、地球温暖化を食い止められる事が書かれていた。

研究を行っている大阪府立大学の中野先生のところを訪れた。すると先生は、「論文は全部、培養できたらの仮定の話。ミドリムシの培養には、世界でまだ誰も成功していないんだ」と言われた。ミドリムシの培養が難しいのは、その栄養価があらゆる微生物の中でもトップレベルにあるからだ。栄養があればあるほど、他の微生物に狙われやすい。当時の技術では研究室内で月産耳かき1杯、産業として成り立つなど夢のまた夢という状況だった。

ユーグレナの創業

31歳までにミドリムシの大量培養に成功し、35歳には会社を設立すると心に決めた。そのための準備として、まず銀行に就職する事にした。いきなり大学を卒業して起業するという度胸はなかったが、銀行員の暮らしに染まったら、抜けられなくなりかねないと1年で辞めた。その時点でミドリムシが培養できる見込みは全く立っていなかった。安全圏に身を起きながら、本気で何事かに取り組むことはできない。

銀行を辞め、当然、無収入になった。それからの2年間は、知人の会社を手伝いながら、ミドリムシの培養の研究とビジネス化の準備で、寝る暇もないような時間を過ごした。この頃、元ライブドア社長の堀江貴文さんと知り合うきっかけがあり、ミドリムシに興味をもってくれた。

2005年にユーグレナの創業に踏み切った。決意したのは、ライブドアからオフィスの間借りと資金を支援してもらえる事が決まったからだ。中野先生からすべてのデータの提供をお願いし「絶対にミドリムシの培養を成功させる」という後戻りできない決意をする事になった。

ミドリムシの大量培養の成功

2005年12月16日、ついにミドリムシの大量培養に成功。これまでのミドリムシを培養するアプローチは「どうすればミドリムシを外敵から守れるか」だった。しかし、これでは一匹でもバクテリアや昆虫が入ってくると全滅してしまう。そこで「ミドリムシ以外は生きられない環境をセッティングする」という発想へ切り替えた。

こうして技術的な目処がついた事で、ミドリムシを事業化する道が拓けていった。