京都大学大学院に1位合格した実績を持ち、戦略コンサルタントとして、多くの経営戦略を支援してきた著者が、効率的な勉強法を伝授。目標を明確にし、効率よく結果を出す大切さを説き、ムダな努力をしないための思考法を紹介している。
■やらないことを決め、投資対効果を高める
「得点力」とは、壮絶な努力で結果を出す力ではない。ちょうどよい努力で結果を出す力である。大学受験でもTOEICでも、およそ試験を受ける時の達成目標は、合格する事、目標点数をクリアする事だ。だとすれば、その達成目標をかなえるだけの投資=努力をすればよい。この意識が弱いと、投資対効果の見合わない努力をする事になる。
これは社会に出てからも同様である。多くの日本企業の現場では「力技(ガンバリズム)」=長時間のサービス残業で、生産性を高めるふりをし、なんとか結果を出している。これは、達成目標をかなえるだけの「努力の最適化」という意識が弱いからである。やらない事を決めれば、努力を最適化できる。
■競争率によって必要な「得点力」は異なる
①倍率2〜3倍
・ライバルの60%ができる事は、自分もできるようにする
・ライバルの45%ができる事も、できる限りできるようにする
・ライバルの25%しかできない事は、2度と見ない
②倍率2倍未満
・実質的には「ネガティブチェック」に過ぎない
・ライバルができる事を自分も大体できれば、合格できる
・目立つ必要はない
③倍率100〜500倍
・相手が求める何かで「規格外」にずば抜けないと、目に留まらない
・何かで「目立つ」事ができないと勝てない
京都大学、東京大学の入試の倍率は、大体2.5倍〜3.5倍程度。0.5倍分くらいは、記念受験組なので、実質倍率は2〜3倍である。このような倍率で合格するためには、以下の2つの要件が必要である。
・ライバルができる事は、自分もできるようにする
・ライバルができない事でも、自分は少しだけできるようにする
就職活動のように、倍率が100倍以上の試験では、合格するために以下の要件が必要である。
・「企業が求めていること」の複数の勝負軸を明らかにする
・その勝負軸で、自分が図抜けている事を相手がわかるように伝える
ほとんどの就職希望者は、企業説明会で話を「聞き流している」だけであり、企業のホームページを「ぼーっと眺めている」だけだ。IR情報ページの事業報告書、経営陣からのメッセージ、中期経営計画を読みこなし、この会社の何が課題で、どんなところを強化しようとしていて、だからどんな人を採用しようとしているのか分析する。仮説は間違っていても問題ない。面接官にぶつけて、目に留まる方が良い。
著者 牧田 幸裕
1970年生まれ。信州大学 経営大学院 准教授 アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任。2003年IBMビジネスコンサルティングサービスへ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。主にエレクトロニクス業界、消費財業界を担当。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。2006年信州大学大学院経済・社会政策科学研究科助教授。07年より現職。
週刊 ダイヤモンド 2012年 12/15号 [雑誌] |
マインドマップ的読書感想文 smooth |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
プロローグ | p.3 | 9分 | |
第1章 得点力とは「やらないこと」を決める力 | p.23 | 16分 | |
第2章 得点力とは「相手の求めるもの」に応える力 | p.53 | 22分 | |
第3章 得点力とは「想定外」でも対応できる力 | p.93 | 11分 | |
第4章 「プロジェクトマネジメントスキル」で得点力を鍛える | p.113 | 18分 | |
第5章 「3C分析」で得点力を鍛える | p.147 | 18分 | |
第6章 「イシューからはじめる」ことで得点力を鍛える | p.181 | 16分 | |
エピローグ | p.211 | 4分 | |
あとがき | p.218 | 3分 |
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