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2013/01/29更新

鈴木敏文のセブン‐イレブン・ウェイ 日本から世界に広がる「お客様流」経営

192分

3P

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米国セブンイレブン再建へ

1991年、経営的に行き詰まったサウスランド社にイトーヨーカドーグループが資本を入れ、この企業再建に乗り出した。

サウスランド社の買収交渉に入る一年前、ハワイにおけるセブンイレブンがイトーヨーカドーグループ側に売却されているが、この時点で鈴木敏文は、サウスランド社再建の目鼻をつけていたようである。彼は、ハワイの店を見て歩きながら「これはコンビニエンスストアとしての体をなしていない」と断じた。コンビニとして本来あるべき姿に変えていく事ができれば、事業として立ち直らせていけるという見方が、そこに働いていた訳である。

まず鈴木が取り組んだのは、意識改革だ。サウスランド社の人達が持っていた「アメリカにおいては、もはやコンビニの時代は終わった」とする固定観念である。隆盛を誇ったアメリカのコンビニ事業は1位のサウスランド社、2位のサークルK、3位の企業が経営に行き詰まっていた。

安売りをやめろ

1960年代、アメリカのスーパーマーケット業界において24時間営業の店は、わずか1〜2%に過ぎない状況であった。しかし、1970〜1980年代と時代が進むにつれて、長時間営業の店が急激に増加してくる。コンビニは差別性を失い、価格競争に陥った。

鈴木が最初にやった事は、常態化していた「安売り」をやめさせる事であった。当時のセブンイレブンは、スーパーに対抗するためにディスカウントに走り、ブルーカラーの男たちが利用する店になり、女性や子供の行くところではなかった。

「ディスカウントをすると、ディスカウントを求めるお客しか来なくなる。すると、ディスカウントを求めてくるお客が喜ぶものしか売れなくなる。また、安く仕入れられるものしか、品揃えしなくなる。それは本来のコンビニエンスを求めてくるお客のニーズとは離れていってしまう」、鈴木の大号令でディスカウントをやめたのと並行して、品揃えの見直しが徹底的に図られた。

お客様流への意識改革

鈴木が取った施策のもう一つは、自前の物流センター売却した事である。売却先は、ウォルマートの子会社で当時全米最大の卸業「マクレーン」。商品の各店へのデリバリーをマクレーンに委託する事で、商品デリバリーのレベルは飛躍的に向上する事となった。

各店が限られた店舗スペースでお客にとって魅力ある品揃えを展開し、商品の鮮度を常にフレッシュに保つには、納品頻度を高める必要がある。これをマクレーンは低いコストで可能にしてくれた。

アメリカのセブンイレブンの再建で鈴木が力を入れた事は、アメリカ側の経営陣の意識改革であった。中には鈴木の考え方は、日本流の押しつけで、アメリカの実情に合わないという反発もあったが、彼は「日本流も、アメリカ流もない。あるのはお客さま流だけだ!」と言ってのけた。