良い習慣を身につけ、悪い習慣を断つにはどうすればいいのか。
勉強、ダイエット、禁煙、貯金など、様々な場面で使える行動を強化する解説書。

自分の意志に影響する力について説明しながら、行動変化のための科学的なアプローチを紹介している。


■行動を変化させるために必要なこと
禁酒の誓いを破った時、衝動買いをした時、やるべき事を先延ばししている時、私たちは何かがうまくいかなくなると、あらゆる場面で「意志が弱いから」というところに理由を求める。しかし、この考え方は視野が狭く単純すぎる。誘惑に打ち勝つために必要なものは、強い意志だけではない。

私たちの行動を大きく左右するものに「影響力の6つの発生源」がある。

①個人レベルのモチベーション（動機付け）
②個人レベルの能力（意志を強くするスキル）
③社会レベルのモチベーション（周囲の人々が及ぼす影響力）
④社会レベルの能力（周囲の人々のサポート）
⑤構造レベルのモチベーション（報酬や罰則）
⑥構造レベルの能力（環境の変化）

影響力の6つの発生源を活用すれば、目標を成し遂げる成功率が10倍以上に高まる。自分に及んでいる影響力を自覚していないと、成功率はゼロに等しい。

■行動を変化させるための科学的な戦略
①自分にあったプランを作る
変化を成し遂げ、その成果を持続できた人を調査して、わかった事は次の2つ。

・成功と同じくらい失敗を体験している
・自分だけのチェンジ・プランがある

長年染み付いた習慣を改善しようとする時に、最初から正しい方法がわかっている人はほとんどいない。多くの人は前進と後退を繰り返す中で、失敗から気づきを得て、目指す方向に進んでいく。日々の繰り返しの中から自分にふさわしいプランができあがり、ついに成功を掴む。

学者達は一般論としてのヒントを与えてくれるが、これが当てはまるのは通常、全体の数％に限られている。したがって、自分を観察すること。長続きするプランが欲しいなら、これしかない。

②決定的瞬間を探す
自分の何かを改めたいからといって、絶え間なく頑張り続ける必要などない。いくつかのハイリスクな瞬間「決定的瞬間」を意識するだけでいい。決定的瞬間を見つけるには、衝動が最も強いのはいつなのかと考えると良い。

③重要行動を用意する
自分の決定的瞬間がわかったら、衝動が起きた時に備えてルールを決めておく。研究によると、決定的瞬間を想定してあらかじめルールを決めておくと、その瞬間に自分が望んだ行動『重要行動』をできる確率がはるかに高まる。

④「影響力の6つの発生源」をすべて使う
決定的瞬間と重要行動を見つけ出して、プランを立て、その行動を確実に実践するには、影響力の6つの発生源を組み合わせて活用する。

著者 デヴィッド・マクスフィールド

著名な研究者としてダイアローグ・スキルからパフォーマンス改善まで、多くの学会でスピーカーを務めている。スタンフォード大学で心理学の博士課程を修め、パーソナリティ理論と対人関係スキルを専攻した。

コンサルタント 著名な基調講演スピーカーでもあり、過去20年にわたって大規模な組織改革を設計、指揮してきた。貧しい人々の経済的自立を支援するNPO「ユナイタス」の創始者としても活躍している 。

コンサルタント 優れたトレーニング・プログラムに贈られる数々の賞を受賞したバイタルスマート社プログラムの中心的な開発者であるとともに、多くの組織改革を率いてきたコンサルタントである。 2004年にはBYUマリオット経営大学院から組織行動論の分野での貢献に対して贈られる栄誉あるダイアー賞を授与された。